声を失った時に感じたファンの暖かさ
Keiko:私、実はKalafinaとしては一度アニメのイベントに出させていただく時に、誰かのカバーを探していことがあって、その時お二方の歌をトライしたことがあるんですよ。難しくて私たちには合わなくてボツになったんですけど、その時にMay'nのは武道館とかで「ダイアモンドクレバス」とか生で聴いてましたし、茅原さんのは私たち3人でずっと同じライブ動画を。
Hikaru :「Paradise Lost」を。
Keiko:格好良いと思って。お二方にとっても有名な楽曲だと思いますが、それを3人でトライする時に、お二方ともハイトーンボイスではあるのですけど、自分たちにはない突き抜け方とか、ここを大事に歌うぞという言葉の表現の強さとか、そういったものが自分たちにはまたないボーカル力だなと思ったんです。
――なるほど。
Keiko:パワーボーカルってやっぱり一言に言えないな、と。私も低音としてWakanaとHikaruの高音に対してハーモニーをいつも奏でているので、違うアーティストさんのボーカルを聴くと、このパワーボーカルに自分の声を重ねたらどうなるかなとか、妄想したくなるような力強さを感じましたね。凄く取り込みたかったんですけど、でも全然(笑)。 あの突き抜け方というのは、May’nはMay'nの、茅原さんは茅原さんじゃないとできないものなんだなと感動しましたね。ずっとヘビロテしてました。
――May'nさんは一度お休みされた時期もありましたが、声を取り戻すという言い方は悪いですが、帰ってきてから歌い方が変わったりはしましたか?
May'n:そうですね、私の人生の転機はそこですね。2015年がデビュー10周年の年で喉を痛めてしまって。やっぱりすごく悔しくて、なんで10周年のタイミングで、という思いが強かったんですけど、療養をして復帰に向けて改めて自分の歌い方とか日々のケアを見つめ直した時に、何か自信が持てるようになったというか。


――自信ですか。
May’n:もっとこういうことができたんだ、と新たなことも知ることができたんです。10周年というタイミングだったからこそ、ずっと何か張り詰めていたというか、ある種の緊張感があったのですが、それがなくなったことによって、より心から楽しめるようになって。ここ2、3年は楽しいこといっぱいしよう、という一番シンプルな思いになってきたというのはあります。
Keiko:声は変わったの?
May'n:特に変わってはいないですね。
Keiko:お休みは大事ですよね。
――シンガーの方が歌えなくなる時、精神的にはどうなんでしょう。
May'n:とにかく怖かったですね。医学的に良くなるというものが果たして自分の求めているイメージに戻るのかという不安はすごくありました。
――そうですよね、医学的な治る、とシンガーとしての治る、には感覚の差がありそうです。
May’n:あとはツアー開催中でもあったので、中止をしてしまうことに対する申し訳なさとか、ファンの方を裏切ってしまったということで、本当にごめんなさいという気持ちでしかなかったんですけど……いつまででも待っているからねとファンの方が言ってくれた時に、「ああ、この仲間を絶対この先裏切らないような自分でいよう」と思って、私はみんなに何を恩返しできるかなということをすごく考えながら、とにかく楽しいことをみんなで見つけにいこうね、という言葉に変えられるようになりました。