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怒涛に満ちたKalafinaの2017年が終わった。今年はデビュー9周年ということで行われた『Kalafina “9+ONE”』ツアーだけではなく、世界遺産日光東照宮や奈良興福寺でのライブなど、1年中あらゆる所で彼女たちは歌い続けた。10周年を前にした9周年を最高のものにするというKalafinaの試みはこのクリスマスライブで一旦の終了を迎える。この日聖なる夜に歌を響き渡らせれば、いよいよ10年目が目の前に現れる。
会場となったBunkamuraオーチャードホールは超満員。当日券を求める列も出ていたが、詰めかけた観衆は優しく微笑みながら開演を待つ、昨年のクリスマスライブもこのBunkamuraオーチャードホールでレポートしたが、相変わらず天井が高いこの会場はまるでヨーロッパの大聖堂のようにも見える。静かに会場が暗転し、今野 均StringsとPiano 櫻田泰啓が着席、チューニングする一音一音ですら儀式のように感じる中、豪奢なドレスに身を包んだKalafinaが現れた。
花をあしらったドレスはそれぞれ薔薇や百合、カーネーションのようにも見える、会場のセットも相まってどこかにある秘密の庭のよう、さあ音楽が始まる、あとは彼女たちに委ねるだけだ。

一曲目「dolce」、そして「we wish a merry Christmas」というクリスマスにちなんだカバーナンバーからライブはスタート。MCではWakanaが「11月からアコースティックライブを続けてきましたが、今日の音楽を楽しんで頂けたらな、と思っています」Keikoが「今日だけの言葉を探して、見つけたいと思っています」とコメントをすると、Hikaruは「二日目!……って、チョット今リラックスしたでしょ?」と軽く笑いを取る。どこか会場の雰囲気に飲まれていた客席の温度が一気に暖かくなる。そう、今日は折角のプレミアムライブ、固くなっているよりはゆったりと音楽に浸っていたほうがいい。とはいえ、MCを挟んだ後のKalafinaは怒涛のようだった、切なく歌い上げた「sapphire」、悠久の大地を蠱惑的に歌い上げた「sandpiper」で一気に世界観を変えていく。代表曲である「Magia」、そこから続けて披露された「blaze」でのHikaruの歌唱は凄かった。魂をぶつけるように歌い上げる彼女は鬼気迫るほどの熱唱。今のKalafinaに血を与えているのは確実に彼女だ。
Hikaruが血液だとしたら、それを運ぶ心臓はWakanaだろう。「私たちの歌はあなたに何を与えられるでしょうか」と語った彼女が歌う「oblivious」は神々しくも訥々と心につき刺さり、アコースティック用に新しく作られたアレンジが今までのこの曲になかった一面を見せてくれる。血と心臓があるのなら、それを司る脳はKeikoだ。「できれば歌った後にMCしたくなくて、みなさんと曲の余韻に浸っていたいんです、今日はなかなか抜けないな……」と興奮気味で語る彼女が真ん中にいることで、Kalafinaは奇跡的なバランスを保ち続けている。

続けて披露された「seventh heaven」「カンタンカタン」「Lacrimosa」を聞いて思ったことは、2016年のクリスマスライブとはちょっと空気感が違うということだ。2016はどこかクリスマス感が強いというか、暖かな空気感の中で進行していった印象がある。では2017はどうか? うまく言葉にするのは難しいのだが、どこか観客にKalafinaが問いかけてくるような印象があった。
2017年のKalafinaは先述のように沢山の会場で、沢山の人達に向かって自分たちの音楽を発信し続けてきた。それは本当にハードな道のりだったのだと思う。その全てを乗り越えてきた彼女たちが年の瀬の最後に「私達の一年はどうでした?」と聞いているような気がしたのだ。それくらい自信を内包した熱量だった。アコースティックだからといって、ただ静かなだけではない。Kalafinaの音楽はそんなに短絡的ではないのだ。
しかしそうは言っても時は12月23日。歌われる曲によってガラリとその風景を変えるのも、Kalafinaの音楽の旅の楽しみ方。「In Dulci Jubilo」「deck the halls」「Jingle Bells」とクリスマスソングを聞けば心も動き出す、配置されたオブジェが赤の光を放ち、緑に照らされるその姿はまるでクリスマス・ツリーのよう。
Hikaruが水を飲んでいる間にKeikoが「あの大塚愛さんの曲で踊るお笑いの人なんだっけ?(にゃんこスター)私クールポコさんでお笑いの人って止まってるんですよ」と繋ぎで笑いを取る瞬間も。シリアスに歌に向かいながらも、一つ喋ればそのチームワークの良さが垣間見れる。この緩急もKalafinaの魅力の一つ。

