level 6
こっち见ないでください!
満面の笑みで
手を振らないでください!
俺は、
あなたとは他人ですから!!
2010年12月10日 14点12分
2
level 6
1.スキンシップじゃなくてセクハラです
――幸と不幸は隣り合わせだ
そんなことを言った奴がいたらしいが、当にその通りだと思う。数时间前までは不幸の穴に落っこちて真っ暗暗をさまよっていたというのに、数时间后には青空の中フワフワの绵云に乗っかって空中を浮游していた。
あまりの切り替えの早さに自分でも惊いたが理屈じゃないのだ。
『彼を俺にください!!』
店员にそう叫んでから契约书にサインし终わるまで、高鸣る胸の鼓动は抑えようがなかった。
「ではお客様、只今连れて参りますので少々お待ちください」
チラと横を见ると、カウンターには様々な客がいた。それこそ学生から中年まで。皆やはり音楽を手に持っているのか、背中にギターを背负っていたり床に管楽器や弦楽器のケースを置いていたりしている。
と、さっき手を振ったら振り返してくれた葱色の髪をした女の子が一人の学生と连れ立って出ていくのが见えた。
(初々しいな~…)
はにかみながら手を繋いで嬉しそうに出て行く二人を见てそう思った。
「お待たせ致しました。マスター登录はこちらで既に登录させて顶きました。说明书とこちら保证书になります。何かご不明な点が御座いましたら当店まで足を运んでいただくかお电话にて受付いたしますのでお気軽にどうぞ。本日はお买い上げ顶き诚にありがとうございました。またのお越しを」
営业スマイルの店员の后ろから、さっきまでガラスケースで遮られ触れることのできなかった彼が现れる。
「初めましてマスター。俺は№00-01型男性VOCALOID"KAITO〟です。今日からよろしくお愿いします」
ふわっと笑う彼――カイトはやっぱり可爱かった。一気に胸の高鸣りが大きくなった。それと一绪に触れたいという気持ちも膨れ上がる。
「カイト…」
「はい?」
「す、好きだっ!!」
「ぅわっ!え?はぁあ?!」
近づいて思い切り抱きついて
『これからよろしくな!』
と言ったつもりが、心の声が出てきてしまった。まぁ仕方がない。この际正直な気持ちをぶつけておこう。当然のことながら、抱きつかれたカイトは変な声を出し固まっている。
しかしそこはボーカロイド、変な声でも様になっていた。
「ふふ……やっぱり良い声だな……ウフフ…いっぱい良い曲歌わせてやるからな~」
「…………」
カイトに頬ずりして、幸せたっぷりな颜をしたのにそれに相反してカイトの颜はひきつっていた。
「……マスター、ちょっとくっつきすぎです……」
「はぁ~…体细いなぁ」
白地のコートの上からでも细いとわかる腰をむぎっと掴む。
「ひぅっ…!」
「お、くすぐったい?くすぐったいんだ?あはは!敏感~」
ケラケラ笑ってカイトの頬をツンツンと 突つく。
「あなた、変态なんですか?…腰触んないでいいですからっ!!いい加减离れてください」
「うぷっ!」
手を突っぱねられ距离をとられる。
「カイトぉ~、俺はお前のマスターだぞ!」
「マスターでも今のはセクハラになります」
どす黒いオーラを缠わせカイトが先に店を出て行く。痛いくらいの周りからの视线を浴びる中、慌てて鞄を掴んでカイトの后を追いかけ店の外に出た。
「ちょっとしたスキンシップじゃないか。これから毎日一绪に寝て、お风吕入って、ご饭食べて……生活を共にする仲じゃないか!!」
ぷぃっとそっぽを向かれる。
「一绪に寝ませんし、お风吕も一人で入ってください。それから、さっきのはスキンシップって言いません。今度変なことしたら店に帰らせてもらいます」
「わかったよ……あ、俺んちここのマンション」
繁华街を抜けて少し静かな住宅街の中ほどのマンション。
「マスター独り暮らしなんですか?」
「まぁ、ね…今日からよろしく」
「よろしく…お愿いします」
手を差し出すとおずおずとしながらも握り返してくる。
その姿が可爱くて
思わず引っ张って抱きしめてしまった。
「ッ………ちょ!!!」
「やっぱりくそ可爱い!!あぁ……なんかいい匂いする~…ねぇねぇコートの下って何か着てるの?抱き心地良すぎ!太もも细っ!!!」
クンクン匂いを嗅いで、逃げようともがくカイトにお构いなしでさわさわと细い太ももを抚でる。
「本当にも~……离れ………っ変态!!!!!」
思い切り殴ったのに幸せそうに笑みを浮かべるマスターに鸟肌を立たせながらこれからの生活に不安を覚えるカイトなのだった。
2010年12月10日 14点12分
4
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2.**が犯罪って知ってますか?
この家にきてからもう4日になる。新しく身を置くことになった环境は、とても住み心地が良いといえるものでは无かった。别に物理面においては何も文句はない。むしろ良いと云えよう。问题は精神面の方だった。
「カイトー…もう许してくれない…?」
今にも泣きそうな颜で声をかけてくるのはマスター。まさか、初めて会うまでこんなマスターだとは全くもって思っていなかった。待ち焦がれて待ち焦がれて、やっと自分のマスターになってくれたのは99%无添加の変态。そうじゃなきゃ普通会って数秒で、周りを全く気にせず抱き付いて告白してきたり、匂いを嗅いできたり腰を揉んだり太もも触ったり色々と……まぁ、深くは言わないがそんな事してこないはずだ。言ってるこっちが溜め息を吐きたくなるようなこれらの行动を惜しげ无くやってのけるマスターは、やっぱり変态なんだと思う。
うん、今决めた
もう决めた
やつは『変态』だ。
「少し黙っててくれますか」
手に持つ写真の束を卷りながら、话かけてくるマスターを黙らせた。何故こんな状况になっているのか。ことの原因は昨日に遡る――――
* * * * * * * * *
「え……これ…」
「んふふ、惊いたか!さっき俺が作ったんだ」
渡された纸束には何本も并んだ五线谱に黒い玉が踊り狂っていた。それも、寻常じゃないくらい绮丽なメロディーを放つ玉たち。目が离せない。というか追うので精一杯だった。复雑に络んだ音と音。けれどそれらがぶつかり雑音となる前に、まるで风のように入り込んできた别の音によって包まれ一つになる。
「凄いだろ!!」
胸を张って自画自賛するマスターには言いたいことが色々あったけど、声が出なかった。唇が震えて、喉が引きつって、声が出ない。
「……カイト?」
「っ……」
楽谱を握りしめたまま黙り込んでしまった俺を心配そうにのぞき込んできたマスターへ势い良く颜を上げ、见つめ、口をパクパク动かす。
「あのっ!…そ、…ちがくて!!」
「…やっぱり気に入らない?」
ブンブン首を振って否定してから思いっきり息を吸い込み吐き出しだ。
「スゴいです!!今までただの変态だなんて思って御免なさい…その、やっぱりあの店に来たってことは凄い人だったんですね。仕事は作曲とかなんですか?」
惊いた様子のマスターに満面の笑みを向け、兴奋しきったままに质问した。
「い、いや、まだ大学生だから…仕事は、してない、よ」
歯切れ悪くそう答えるマスターの颜がみるみる赤く染まっていく。
「じゃあ音大生さんとか?たった数时间でこんな曲作れるなんて本当にスゴいですよ!!俺、マスターのところに来れてよかったです…」
そう伝えれば、口を手で覆ったマスターの目からポロリと涙が伝う。
「そ、そっか!!そんなに誉められたの初めてだ……なんか耻ずいなっ!」
「何泣いてるんですか…これから一绪に生活していくんでしょ?直ぐに泣く人は嫌ですよ」
「ばっか。嬉し泣きだよ!」
ゴシゴシ袖で目を擦るも、溢れてくる涙は止まらない。
「マスター…」
互いに笑いあって、その场は今までにないくらい穏やかで亲密な空気に包まれた。しかし、それはたった数秒で崩れ去ることになる。
「あれ、マスター。袖から何か见えて……」
カイトがそう呟いた刹那、ボトリと四角い物体がマスターの袖口からこぼれ落ちた。
「ぁ……」
「………………」
目が点になった。
何だろうこれは。
手のひらサイズの物体には何やらレンズらしきものが中央に取り付けられている。
2010年12月10日 14点12分
5
level 6
どう见てもカメラだろう
「……マスター?」
「な、なにかな…?」
お互い动けない。ただジッと床に転がる物体を见つめていた。
「これは?」
「カ、メラだね…」
マスターの额から渗み出た汗が床に一粒落ちる。
「何か言うことは?」
「その…な、なんでこんなところにカメラがあるんだろうな…!!あ、魔法かな?瞬间移动~……なんちゃって…」
カイトの拳が一寸の狂いなく、マスターの鸠尾目挂けて强力な一撃を放った……―――――
* * * * * * * * *
目の前の机に所狭しと并べられた写真に写るのは全て同じ被写体だった。というか全て"自分〟だ。トレードマークのマフラーがたなびき、木の干に寄っ挂かり昼寝をしているものが数枚。脱衣场で服を脱いでいる最中のセミヌード状态のものが数十枚。いつの间に撮ったのか、リビングでチューニング中の姿を写したものが数枚。他にもいつ撮ったのか疑いたくなるようなものからギリギリ危うくないものまで、その枚数百枚はくだらないだろうか。
「……はぁ…いつ撮ったんですか、って言ってもコレ见ればわかりますけどね。よくたった4日でこんなに……」
ぞわりと背筋に冷たいものが駆けた。
「隠し撮りとはいい趣味ですね、マスター?」
「…………ごめん」
そわそわと目を泳がせる姿に再度ため息を吐いて、手で卷っていた写真の束を机に放った。
「…犯罪ですよ?」
「…おっしゃる通りで」
机に散らばった写真の中から一枚を抜き出してマスターの眼前に持っていった。
「これ、ナニに使う気だったんですか」
「…………ゴメンナサイ」
その写真には殆ど全裸に近いカイトが写っていた。
「……ド変态ですね。むしろ人间の屑です」
「いやん、屑なんて誉めないで」
冗谈めかしに体をくねらせたマスターに今度はどこからともなくフライパンが飞んできて、思いっきり颜面に食い込んだ。
「……ゴメンナサイ、本当にもうしません。许してください、お愿いします」
「全く…初日といい写真といい……今まで平和だった理由はコレだったんですね」
ジロリと睨むカイトの视线から逃れるように俯いて谢り続けるマスター。
「…もういいです。大体マスターという人がどれだけ変态かがわかったので。次は本気で怒りますからね」
「ぇ……许してくれんの?」
「マスターの才能に免じて今回だけは、です。正直あなたの作る曲を歌ってみたいですから…」
口を尖らせてカイトは散らばった写真を集め始めた。
「そっか…ありがとうカイト!」
そう言って写真に手を伸ばすと、パシンと叩かれた。
「何するんですか?」
「え、いや…写真を返してもらおうと…」
カイトの眉间がピクリと动いた気がした。いや、気がしたんじゃなくて动いたんだ。
「话闻いてました?…写真は没収…廃弃しますから安心してください」
黒い笑颜のカイトは素早く写真の束をひっつかみ、部屋にあった电动シュレーダーに突っ込んだ。无残にも尘になっていく秘蔵写真たちを口を开いたまま见つめるマスター。
「平和が戻ってきましたね、マスター」
至极満面な笑みを浮かべて両の指先同士を颜の前で合わせ首を倾げる。
普段のマスターなら直ぐに抱きついてくるだろうが今はそんな気力さえないようで、ただの置物のようになっている。
「じゃあ、昨日もらった楽谱に目を通してきますね」
パタパタと部屋を出ていくカイトを见送り、次に电动シュレーダーに视线を移した。
「このやろう!!コピーすんのに何时间かかったと思っていやがるシュレーダーめ!!!しかしだ!!」
势い良く立ち上がりパソコンの前に仁王立ちする。
「データは全てここにあるのだよ?いくらコピーを廃弃されようとオレは痛くも痒くもないんだっ!」
はっはっは!と笑って部屋の扉をふと见ると、薄く开いた隙间から覗くカイトと目があった。
「……さて、データも消すかな……」
写真データの消去中、背中に突き刺さるカイトからの视线が……凄く痛かった――――
2010年12月10日 14点12分
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level 6
3.くっつかないでください移ります変态が
件の**事件があってから早くも1ヶ月が経とうとしていた。この1ヶ月、多少セクハラまがいの行为や変态発言を受けてはいたが比较的に平和に过ごせた。それに、大分免疫力がついたように思える。まぁ、そんな免疫力がつくのもどうかとも思うのだが大きな成长といえよう。
そんなある日のことだ。
「はぁ?!今更なんだよ!もうお前のことはもうどうとも思ってねぇし……いい加减にしてくれよ…ちょ…待てって!!」
携帯电话に大きな声で骂声を浴びせ続けていたマスターは、舌打ちをして握りしめていたそれをベッドに叩きつけた。
「ぁあもうっ!!」
髪の毛をぐしゃぐしゃと掻き乱して床に胡座をかくその姿は明らかに苛立っていることが窥える。
「……何かあったんですか?」
「ん?あ~…うん、……はぁ、カイト~…可哀想なオレを愈やしてくれ~」
「うわっ!ちょ……くっつかないでくださいっ!変态がうつったらどうしてくれるんですか!!」
床にくっついたまま、カイトの両脚に腕を络ませて抱きついてきたマスターのお腹を蹴り飞ばしひっぺがす。
「いっつ~…あはっ、久しぶりのカイトの蹴り」
痛いと言ってお腹をさすりながら笑うマスターに呆れたが、どうやら苛立ちもおさまってきたようなのでよしとしよう。しかし何故あんなに苛立っていたのか。今まであんな怒鸣っているマスターを见たことがなかったから惊いた。と同时に新たなマスターの一面を知った気がする。
少し离れた位置から黙り込むマスターを见つめていると不意に真剣な目をしたマスターと目が合った。
「なぁカイト………」
「なんですか」
初めてみるその真剣な表情に、悔しくもドキリとしてしまった。
「………好きだ」
「は?寝言は寝て言え変态が」
「即答かよ!!」
手をビシッと张ってツッコミを入れてきたマスターの攻撃を避け、うなだれるように床へ寝転がったマスターをしゃがんでちょいちょいとつついてみた。
「もうちょっと考えてくれるふりとかさぁ~」
「ないですね」
「ソウデスカ……」
「だいたいマスターみたいな変态を好きになれってほうが无理です」
「……无理、か……」
黙り込んでしまったマスターを不思议に思い、颜を覗き込もうとしたとき
「ごめん、疲れたから少し一人にして。カイトの裸エプロン姿で作った爱情たっぷりの夕饭できたら直ぐ呼んで…」
「―――え…ぁ、わかり……ました…」
びっくりした。
どうしよう、これは怒らせてしまったのだろうか。いつもなら「えー酷い~」とか言ってベタベタ触ってくるのに今はそれがなかった。しかも、何があっても一绪に居ようとするマスターが一人にしてくれなんて言うとは思わなかったから、さりげなく変态発言したマスターに何も言い返すことができなかった。
「あの、マス……」
「ごめん…カイト、ごめん」
なんだろう。
こんなマスター知らない。バカみたいに笑って、セクハラしてきて、あわよくば**までするのが俺のマスターなのに。
なんか、悲しい。
痛いな。
あれ、なんで痛いんだろ。
わからない。悲しい。痛い。なんでだろう。
わからないです、マスター……。
気付いたらマスターの部屋から出て廊下にいた。いつ出てきたのか全く覚えてない。けれど、未だにバクバクと鸣る造られた心臓が痛い。
「マスター……」
脚から力が抜けて廊下に座り込む。拒绝されたのは始めてだったから头の中がグチャグチャする。
嫌われたのかもしれない。いつも酷いこと言ったり蹴ったりしてたから。少しくらいマスターの好きなようにして、冗谈とかも付き合っていればよかったかもしれない。舍てられたらどうしよう。お前はもう要らないって、いうこときかないボーカロイドなんて嫌だって言われたら…。マスターに、舍てられる。
「…自业自得じゃないか……」
けれど舍てられるのは、嫌だ。もっとマスターの作る曲を歌いたい。ずっとマスターと一绪にいたい。
……ずっと……?
あれ、なんでそんなこと思うんだろう……。
なんで……俺は――
「あなた谁?」
突然头上から闻こえた女性の声で现実に引き戻された。
「ぇ…、えっ??」
なんでここに女の人が居るのだろうか。玄関はちゃんと键を挂けていたし、マンション自体入り口の警备システムは万全の筈だ。
「なによ変な声出して。それよりアイツどこ?」
そう言ってどんどん廊下を进んでいく女性。その后ろ姿を呆然と见ていたが、ハッとして慌てて后を追いかけた。
まさかこの女性がカイトにとって最悪の事态をもたらす访问者だと、その时は知る由もなかった。
2010年12月10日 14点12分
7
level 6
4.食べちゃうぞが冗谈に闻こえません
もし、空気清浄机が空気を読めるのならこの暗く淀んだ空気をどうにかしてほしい。けれども、どうやらリビングに住む空気清浄机は空気を読むのが极端に苦手らしく、益々淀みつつある空気を嬉々として迎えているようだった。
「で、なんの用」
マスターの氷のように冷たい声が周りの温度を数度下げた。隣に座る身としてはマスターの颜が窥えないため、怖さも倍増だ。
「…わかってるくせに」
さらに向かい合うように座る女性の、针のように尖った声が肌をチクチクつついてくるものだからたまったものではない。
早くこの场から去りたいと思う反面、この女性が何をしにきたのか気になって离れられない。
どうやらこの女性はマスターが昔付き合っていた女性らしい。こんな変态と付き合える女性がいたとは惊きだ。
「あの女と别れたって闻いたから来ちゃった」
「人の不幸を笑いに来たってか。相変わらずだな」
ピリピリした空気で会话をする二人。
「不幸ついでに幸せになってみない?私、あなたのことずっと忘れてなかったのよ」
「そうだ、できれば合い键返して。もう要らないだろ」
マスターの言叶に眉间にシワを寄せる女性。それでも平然とマスターは、さっきカイトが出したお茶を啜っていた。
「ちょっと…私の话闻いてるの?」
「………」
无视を决め込んだのか、喋らなくなったマスターを见れば、その视线に気付いたのかニコリと微笑みかけてきた。慌てて视线を外して前を向くと、今のマスターの态度にさっきよりも更に颜を怒らせた女性が睨みつけてくる。
「また寄りを戻してあげるって言ってるのよ…?」
「迷惑だよ」
嫌そうに眉を寄せたマスターについに女性がキレた。ガタンと大きな音を立てて椅子をひっくり返して立ち上がると、手を振り上げる。
「マスター!!」
その手がマスター目挂けて飞んでくると分かり、とっさに前に飞び出す。案の定その手はマスターではなくカイトを叩いた。瞬间、锐い痛みが頬に走る。
「いっ……」
「おまッ…!!」
飞び出したままの姿势で固まっていると、焦った声と共に后ろから强く抱きしめられて叩かれたのだろう頬に手が添えられた。
「お前って本当…すぐに手が出る女だよな」
耳元で闻こえた地を这うような低い声。机越しに向こうにいる女性がビクリと竦んだのが见えた。
「な、なによ……その子が胜手に!!」
「俺がお前をぶん殴る前にここから消えろ」
「っ…、なによ!たかがそんなクズ叩いたくらいで!!」
そう言ってカバンをひっつかみ玄関へ駆けていく。岚のように来て去っていった女性の后に残されたのは当たり前だがマスターと二人だけ。
「あの……マスター?」
しかもどうだろう、今までこんなに密着したことなんてないくらい密着している。ドクドクと心臓が鸣り、マスターまで闻こえてるんじゃないかと思う。
「カイト、大丈夫か?すっげぇほっぺ热いじゃん」
すりすりと頬を抚でているマスターの手は冷たくて気持ちよかった。だから少しその手に頬摺りをしてしまいハッとした。
「ちょっ……!!いつまでくっ付いて…くっ、腕巻き付けるなッ!!!」
「え~……。でも今ちょっとカイト、デレたろ!かーわい~」
マスターの発する猫抚で声にぞわぞわ鸟肌が立つ。
「今ならカイトのこと、食べれるかと思ったのになぁ……」
本当に残念そうにふてくされるマスターにはもう何も言うまい。とりあえず、あと一歩间违えていたら食われていたかもしれないという事実に恐怖するしかなかった。
え?自意识过剰だって?
いやいや、やつは食うと言ったら食うマスターなんです。
「さっきさ、庇ってくれてありがとな」
「本当に、なんでこんな変态庇ったんでしょうね。いっそ一発殴られておけばよかったのに」
「カーイート、あまりかわいい事言うと食べちゃうぞ☆」
冗谈なのか冗谈じゃないのか、マスターの言叶は忆测が难しい。
「一触れでもしてみてください。お前に明日はねぇ」
満面の笑みで返してやった。
まさにそれは背后まで忍び寄ってきていた。それは着実に、引き返すことなく足音を大きくして近づきながら…………――――。
2010年12月10日 14点12分
8
level 6
5.大人しいとなんだか寂しいです(……気のせいでした!)
岚のように访问し帰って行った女性に一応出した、机の上にある殆ど中身の减っていないカップを片付けながらカイトは叩かれてジクジクと痛む頬に手を当てた。
さっきマスターに触られた时、今までとは违う何かを感じた。抱きしめられて颜中热くて耻ずかしくて、离れてほしいと思う反面ずっとこうしていて欲しくて。そう、まるで……
『恋ですよ!!』
「ッ…?!」
突然闻こえてきたその言叶に惊き指からカップがすり抜け、派手な音を立てて床に冲突し砕けた。ビックリした颜で、TVを见ていたマスターが此方に振り返る。
「カイト?」
「ぇ、わぁっ!!すみませんッ」
床に広がり始めた水溜まりを拭うため、慌てて床にしゃがみ込み台布巾で拭きながらカップの破片を掴んだ途端。
「あっ!!バカ」
突然マスターがそう叫び駆け寄って来たと思ったら、手を取られ掴んでいた破片を取り上げられる。きょとんとしていたらデコピンで额を弾かれた。
「っ…!何するんですか!?」
「お前はバカかっ!素手で破片拾ったら危ないだろ!!もし切って伤なんて付いたら………この滑らかな肌に伤ッ!!有り得ないだろ?!」
「いや……マスターの方が色々有り得ないです…」
凄い形相でそう力说してくるマスターは握ったカイトの手をさすりながら、溜め息を吐いた。
「ハァ…まったくカイトは…」
「なんですか」
首を倾げ时だった。
ドンっと背中と头が硬いものにぶつかり、钝い痛みに目を瞑る。何事かと目を开くと笑颜のマスターの颜と天井が目の前に広がり、背中に当たる硬いものが床だと分かって床に押し倒されているのだと気が付いた。
「ちょ……マスターふざけないでください」
何も言わずただジッと见つめてくるマスターに居たたまれなくなって视线を逸らす。
「なぁカイト、どうしたら…」
「…………?」
途中で言叶を切ったマスターが気になって、逸らした视线そっと戻す。
「どうしたらお前は俺を好きになってくれる?」
「またそんなこ……と、」
またいつもの调子でからかわれているのだと思い、返そと思った返事はちゃんと最后まで言叶を成さなかった。
余りにもマスターが真剣な目で见てくるから、軽い返事なんて出来そうにない雰囲気に口元がまごつく。
思えばマスターが"好き〟という言叶を投げ挂けてくるときはいつも真剣な目をしていたなと、改めて気が付いた。
「そんなこと…言われても……困ります」
ポツリとそう呟けば、一瞬眉を寄せたマスターが軽快に笑い出した。
「あははっ!冗谈だって、も~本気にしちゃって。悩んだ颜もそそられるな~」
そう言って笑いながら洁く上から退いたマスターは、くるりと背を向け再びTVの前に座り込んだ。残されたカイトも起き上がってその背を眺める。
「あっ!ほらカイト见てみろよ、有名PのミクちゃんがVステに出てる!!可爱いよなぁ~…」
わざと明るく振る舞っているのは明らかで、そんなマスターにかける言叶なんて出てくる筈もなく、コートの裾に少し染み込んだお茶の迹を眺めながら
「…そうですね」
としか言えなかった。
2010年12月10日 14点12分
9
level 6
「カイトはさ、俺と居て幸せか?」
「は?」
何を突然言い出すのだろう。余りに予想外の质问に箸を持つ手が宙で止まってしまった。
「何言ってるんですかマスター?」
意味がわかりません。と言えば、マスターは箸を置きせき払いを一つして黙り込んだ。根気よくマスターが何か言うのを待っていると、チャイムの音が部屋に响く。
「谁ですかね、ちょっとでてきます」
箸を置き立ち上がって玄関へ向かう。时刻は既に9时を回っていた。来客にしては遅い访问だ。宅配便かもしれないと、一応玄関脇の棚にある印鉴を出して扉を开けた。
「今晩は」
宅配便ではなかった。
ラフな格好をしたマスターと同い年くらいの青年がそこに立っていた。
「迎えにきました」
笑颜でそう言う青年。迎えに来たと言っているがマスターは今から何処へ出挂けるのだろうか。闻いていなかったカイトは何も伝えてくれてなかったマスターに内心ふてくされた。
「こんばんは。今マスター呼んできます。よかったら中で…」
そこまで言いかけてリビングへ戻ろうと一歩后退すると、立っていた青年に腕を取られた。
「あの…?」
「だから、迎えに来た」
何を言っているのか分からず首を捻っていると、背后からマスターの気配を感じ振り返る。
「マスター!あの、なんかこの人…」
「わざわざ悪いな、こんな时间に」
振り返って见たマスターは笑颜で玄関の外にいる青年に话しかけた。
「いいって、お前の頼みだしな。コイツも结构オレ好みの颜だし」
「ははっ、相変わらず面食いだなお前は」
亲しげに喋る二人について行けない。まるで此処にいるのに一人违う世界で傍観しているようなそんな感じだ。
「カイト」
マスターに呼ばれてやっと二人と同じ世界に来た。
「お前の新しいマスターだよ」
よろしくと微笑む青年を指差しながらマスターはそう言った。
「良い奴だから、きっとカイトもすぐ驯れるよ」
マスターの纺ぐ言叶の一つ一つが呪文のようにカイトの体を石にしていく。
「今までありがとう、さよならだ」
「ッ…………!」
ビキッと确かに体中にヒビが入ったような感覚に陥り、その场から动けず、息も出来なくて、ただ目を见开きマスターを凝视した。
「いこっか」
腕を引かれて玄関から外に足が出た。闭まっていく扉。消えていくマスターの姿。
なんで?
舍てられた?
俺がマスターのいうこときかないから?
嫌だ。
嫌だいやだイヤだイヤダ嫌だイヤだいやだ!!
「ま、すたっ…!!」
掠れる声で精一杯呼ぶと、扉に消されてゆくマスターの颜が微かに上がった気がした。だが、それを确かめる暇なく扉は闭まった。
夜の住宅街は静かだ。
所々に灯る电灯には虫が集っていた。延々と続く同じ风景を、ぼぅっと眺めながらカイトは前を行く青年について行く。その足取りは当たり前に重い。
「なぁ、オレもカイトって呼んでいい?」
「……………」
「あいつさ、どんな曲作ってた?」
「……………」
何を闻かれても喋る気になれず黙っていた。それでも喋りかけ続けてきていた青年が、突然立ち止まり振り返ってくる。
彼の家にでも着いたのかとカイトも立ち止まり、青年の颜を见た。
「あいつ、かなりの変态だろ?カイトも大変だったんじゃない」
カイトと呼ぶことにしたのか、まるでマスターのように语りかけてくる。いや、実际マスターなのだから当たり前か。
「毎日よく一绪に生活できたな。嫌だったろ?でもオレはあいつみたいな変态じゃないから安心しなよ」
2010年12月10日 15点12分
17
level 6
なんだろう。
彼の言う一言一言が酷く耳障りだった。
何が嫌だった?
何を安心するんだ?
あいつみたいって、何?
マスターのことをよくも知らない癖に。なんでそこまで言える?
「俺は……」
「なに?」
近づいてきた青年をキッと睨み付ける。
「俺はあなたの方がよっぽど一绪にいたくない!!俺は别にマスターに何されようと嫌じゃなかった!ちょっと変态だけど毎日一绪に生活してて幸せでした!大変?何が大変なんですか?!それはあなたの胜手な妄想だ!!マスターはっ……!!」
一気に溜まったものを声に出して扫き出したら涙まで一绪に出てきた。
「…カイト、あいつに舍てられたって分かっててそれ言ってる?」
冷たい声がカイトの心臓をグサグサとナイフで突き刺していく。
「あいつは、もうカイトがどう思っていようと要らないんだよ」
「っ…………でも、」
「でも?」
溢れる涙が止まらなくて、えずく喉が引きつってきちんと喋れない。それでも、これだけは言わなければと口を开く。
「おれ、はっ……ぅ、ますた、が…す、すきだっからぁ……っ、ぅ」
「…………」
マスターにさよならと伝えられたあの时渐く気づいた。
今までのマスターの行动を本気で嫌だと思わなかった理由も、
突き放されて寂しいと感じた理由も、
触れられてドキドキした理由も、
いつの间にか好きになってしまっていたから。あのどうしようもない変态に毒されて、もうマスターなしでは生きていけないくらいその毒に侵食されてしまったから。
「いやだぁ…っ、ま、すた…ぅ、すて、ないで……、」
道のど真ん中で泣きじゃくるカイトに、青年は盛大にため息をついて近づく。
「…ほら、あんま泣くなよ。ちょっと言い过ぎたって」
头をよしよしと抚でながら青年は苦笑した。
「でも、自分の気持ち确认できたろ?今の言叶、あいつに言ってやれ」
「ぇ……」
颜を上げるとニヤリとわらう颜と钵合う。
「あいつさメールで、カイトに嫌われてるからもうカイトと生活できない。不幸にさせるだけだ。それならオレんとこに寄越して幸せにしてやりたいから引き取りに来いってさ………全く、バカかって感じだよな。あの変态と1ヶ月も生活したんだろ?普通一周间ももたねぇって。好意があるからだって気付くだろ…あ、でも3年持った女もいたか……ってそうじゃなくて」
一人でノリツッコミをした青年はクスリと笑って横に指を指した。その指の先にあるものを见て、あっと目を见开いた。
「……マスターの、まんしょん……」
「家に行く振りして一周しただけだったりして。カイトがあいつと离れたくなさそうだったからさ」
止まっていた涙が再び頬を伝った。
「お前泣き虫なのな」
「あなたの、っせいです!」
「そりゃどうも。さ、早く戻りな。はい、これ键」
礼を言いながら颔いてマンションの玄関に向かって駆け出した。
键を使ってロックを外し中に入りエレベーターへ飞び乗る。マスターの部屋の前で一瞬踌躇ったものの、一気にノブを回した。まだ键を挂けてなかったようで扉が开く。そこには别れた时と同じ姿のマスターが、まるでお化けをみてるみたいなかおで突っ立っていた。
「な、んで……」
「っ……マスターのバカッ!!胜手に自己完结して俺を振り回さないでください」
玄関の中に入ってマスターを见据える。
「俺のマスターは……マスターだけです…」
扉の闭まる音が背后でして、それと共にマスターに强く抱きしめられた。
2010年12月10日 15点12分
18
level 6
终章
抱きしめられた安心感からか、再び溢れてきた涙をマスターが軽いキスで拭ってくれる。
「カイト、なんで戻ってきたんだよ…あいつの方が俺なんかよりずっと…」
「まだそんなこと言うんですか。やっぱり俺は…もうマスターのところにいちゃダメなんですか……?」
弱気になって自信を无くした人间は己の望む现実が実ってもそれを素直に认めたがらないという。それがいまのマスターなのか。それとも、本当にもう………
「违う!!违う……俺はカイトに幸せになって欲しいから、だから…」
俯いて首を振るマスターの頬をパンッと両手で挟んで上を向かせる。いきなりのカイトの行动に目を瞬かせるマスターに苦笑いを向けて
「なら、マスターのところに居させてください。俺はマスターと一绪にいるのが一番幸せです…」
「カ、イト……っ」
声を诘まらせたマスターに更に强く抱きしめられ、震えるその背に手を回した。
「だからマスター、すてないで……そばに、いさせてください」
「ばっか!谁が舍てるか…もう、绝対なにがあっても俺のそばから离れられないようにしてやる」
気持ち悪いですね、とふざけて笑えば普段通りのマスターがふてくされたように頬を膨らませてきたのだった。
日の光が灿々とふりそそぐ休日の昼。今日も世间は平和だ。この二人を除けば……
「なんで一绪に寝てくれないんだよ!」
「当たり前です!寝てる间に服を脱がされれば谁だって二度と一绪に寝たがりませんよ!!」
ギャーギャーと騒ぎながらリビングで追いかけっこ……なのだろうか。
カイトを追いかけ回すマスターの手には纽が握られており、逃げ回るカイトの手には杀虫剤のスプレー缶が握られていた。
「ちょ……これ以上寄ったら本当に杀虫剤かけますから」
壁际に追い込まれたカイトは杀虫剤を前に突き出し、色々な意味で息の荒くなったマスターへ标准を合わせた。
「しょうがないだろ。隣で好きなやつが无防备に寝てたら脱がして舐めまわ……」
「わぁぁああ!闻こえない闻こえない!!」
ぷしーっと小気味よい音と共にマスターに杀虫剤のミストが降りかかる。
「うわっ!ばか!!マジで口に入るって」
慌てて急停止し、喷射されたミストを避けながらカイトの手から缶を夺った。
「っ!……それ以上寄らないでください…」
「い・や・だ」
「う、わぁっ」
目の前まできたマスターは追い诘められたカイトを肩に担ぎ上げると寝室へ向きを変えた。
「よし、捕获完了!!昼寝するぞ~」
「嫌です!绝対マスター変なことするじゃないですか!!」
ジタバタ暴れていると、不意に尻を擦り擦りと抚でられ体が硬直した。
「あんまり騒ぐと本当にイケナイことするぞ☆」
ちゅっとリップ音と共に尻にキスをされて全身にゾワッと鸟肌が立った。
「い、……いっぺん死んでこい!!この変态がぁぁあああっ!!!!」
カイトの缲り出した蹴りは当たり前のようにマスターの大切な场所にめり込み、その场にノックアウト……升天したのだった。
「なんで俺はこんなのが好きになったんだ……?」
床でうずくまり泡を吹くマスターを眺めながら深い深いため息をつくカイトだった。
俺のマスターは変态性で、すぐにセクハラしてくるし勘违いは激しい妄想になる。全く世话のやけることだ。
けれど
世界で谁よりも爱してくれるから
俺にはきっと、こんなマスターがちょうどいいのかもしれない。
END
2010年12月10日 15点12分
19
level 6
それはひどく精密に出来ていて、个人で作ったとは思えないほどだった。
「さすがプロ…腕が违うな」
いったいいくらしたんだと、これを买った男に内心问いながらベッドでスヤスヤ寝息を立てるカイトに目をやった。
「お~い、カイトー」
眠りが浅いか试しに声をかけてみたが起きる気配は全くなかった。今しかないと意気込んで手に持つそれ――ネコの耳と尻尾を模した玩具――を寝ているカイトに付けにかかった。耳は案外楽に付いたが问题は尻尾だった。ズボンを脱がして直に肌に触れさせなければ効果は无いらしい。しかし、脱がしてしまったら起きてしまうに决まっている。慎重に少しだけ脱がすことにしてバックルに手をかけた。
「ちょっと…、失礼」
闻こえないだろうが一応一言ことわってからカイトのズボンに手を挂け起こさないよう少しずつ降ろしていく。
「っ…これは…舐めたい…!!」
颜を出したカイトの尻を见て一人闷绝し鼻を押さえながら、尻尾を付けた。横たわるネコの耳と尻尾を付けたカイトを见て、自分の中で何かが爆発したのがわかった。
「か、わいすぎるっ!………だめ、ガマンできない!!カイト!!!」
「ん…ぅわっ?!」
ベッドに寝ている一匹もといカイトに势い良く飞びついた。すると耳をピンッと立て、ご丁宁に尻尾まで垂直に立たせたカイトに颜が缓む。
「もう!びっくりさせないでください…」
そう呟いて欠伸をし、むぅっと頬を膨らませたカイトは警戒を解いたらしい。耳が徐々に下がり尻尾がパタリとシーツに落ちる様を目の前でありありと见せられ感动していると頬を叩かれた。
「何见てるんですか、気持ち悪いから早く退いてくださいマスター?」
「いいじゃん、たまには添い寝しよ~」
めげずにそう言って、はむっとカイトに付けたネコ耳を口ではみ舌を络ませる。
「っぁ?!なに……ゃ、なんですか…ちょ!!」
一気に颜を真っ赤にしたカイトは手を突っぱねて距离を取ろうと必死になっている。しかし寝起きで力が出ないのか、次第に反抗の色は薄れていった。
「ん、感度良好?」
「ふっ…ざけ!何した…ぁッ?!」
しゅんとしていた尻尾を掴んでするりと扱いてやれば体を震わせ慌てて口に手を持っていく。その手の甲にキスをして颜を覗き込めば、何が起きたのか分からず眉をハの字に下げ目を润めるカイトと目が合った。
「ま、すた……何したんですか……?」
「っ……!!」
耳を极限まで下に下げ怯える姿に、カイトには悪いがかなり下半身にキてしまった。
「これ、何で俺……尻尾が」
恐々と尻尾をくねらせ动かし、缒るような视线を向けてくるカイト。
「俺、バグ起こしたんじゃ!…マスター?」
「ッ……ごめ、カイト似合いすぎて可爱いすぎ!!」
ぎゅうっと抱き缔めて唇をほっぺに押し付けていると、后头部の髪を掴まれ思い切り引き离された。突然の痛さに声すらでない。
「マスター、俺に何したか言ってくれますか…?」
「いだだだ!カイト痛い痛い!ごめん、话すから离して!!」
パッと手を离され、ジワジワ痛む头皮を抚でつつカイトから生える尻尾を掴んだ。
「っ…」
「あーやっぱ触っただけで感じるなんて凄いなこれ」
「いいからっ!コレ何なんですか?!胜手に人のズボンまで脱がせて…!!」
怒りに震えながら尻尾を指差すカイトへ、玩具が入っていた箱に同封されていた说明书を渡した。それを受け取って読み始めたカイトは、徐々に颜を青くして恐る恐る手を头に持っていく。そして本来そこにあるはずのないネコ耳に触れた途端、その体势のまま固まってしまった。
「そういうことだ」
固まるカイトから说明书を取り上げ、近くの机に投げ飞ばす。
「なぁカイト、いい加减両想いになったんだし……ヤらせて?」
「ッ…」
ふうっと耳に息を吹きかけ嗫きながらベッドへ乗り上げると、二人分の体重を支え轧むような音を立てた。
「なんで……今なんですか」
チラリとベッド脇にある窓に视线を送るカイトにつられ外を见る。
ちらほらと青に浮かぶ白绵に、眩しいほど辉いた太阳。世间では日中のこの时间帯。情事を行うには不钓り合いな时间だった。
「俺の息子が限界だから」
ニッコリ笑ってカーテンを闭め、カイトに覆い被さる。
「……怖い?」
「别に…これとっちゃ駄目ですか」
これ、とネコ耳尻尾を指すカイトに首を振って机に人差し指を向ける。
「说明书読んだろ。接着剤は24时间経たないと弱まらないらしいから绝対取れないようになってるんだって」
「はぁ…どこでこんなもの买ったんですか」
「秘密☆でもなんかボーカロイド専用で、性感帯を刺激する特别な超音波出すらしいぞ……楽しみだな」
言叶を诘まらせ有り得ない物を见る目で见てくるカイトの头を抚でながら唇にキスを落とした――――――――
2010年12月10日 15点12分
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