level 6
うん。驚くべきことに、この粉は合法の調味料だ。何の麻薬成分も含まれていない。いや、本当になんで?
「そんな調味料だが……これ単体で美味すぎて、調和できる料理がない」
「調味料として終わってません?」
もはやただの中毒者続出のヤバい粉だよね。
それに、超似たような調味料を某食材ハンター漫画で見たことあるんですが! 実際に存在するとこんなにヤバい代物になっちゃうのね!?
「ま、最近は異世界の勇者とやらが広めたレシピにある、唐揚げやら天ぷらやらが、この調味料と相性がいいことが分かったんだ。あと、米ってのを焼いたり揚げたりした……米菓って言ったか? あれとも相性抜群だな」
それはどう考えても日本にあるハッピーになれる米菓ですね! 何を広めてるんだ、勇者は……!
ただ、言われてみれば唐揚げも天ぷらも美味しそうだな。この粉が同じような味なのかは知らないけど。
「それで、今回護衛してもらう港町では、魚のフライが最近のブームになってる。んで、ここで俺たちの『ヘブン・パウダー』の出番ってわけよ。まあ、前から取り扱っちゃあいたが、天ぷらや唐揚げと相性がいいことが分かってからは、より求められるようになったのさ」
「な、なるほど……」
ちゃんと理由がしっかりしてて、驚いてしまった。
いや、俺がおかしいんだ。だって、合法なんだもん。効果がおかしいだけで。
……でも納得できねええええええ!
思わず頭を抱えていると、今まで黙っていたルルネが、キリっとした表情で口を開いた。
「フン。その調味料、私が味見してやってもいいぞ?」
「……食いしん坊、涎すごい」
「た、滝みたいですね……」
表情そのものは凛々しいのだが、ゾーラの言う通り、ルルネの口からは滝のように涎が垂れていた。汚いから拭きなさい!
あと、そんな危険なものをルルネに食わせるなんて……どうなるか分かったもんじゃない!
このままだと無理矢理にでもスカーさんの持っている粉を奪いそうなので、俺はさっさと話を進めることにした。
「そ、それで! いつ出発しますか?」
俺らとしては、今すぐ出発でも大丈夫だった。
一応、食材やら何やらは色々アイテムボックスに入ってるし、もし食材がなくてもスカーさんたち全員とこのテルベールまで戻って、もう一度転移で戻れば何の問題もない。
「できれば今すぐ出発したいが……大丈夫か?」
「大丈夫ですよ! もしかして、急ぎですか?」
「ああ……前回『ヘブン・パウダー』を届けてから少し間が開いちまったからな。今頃、【サザーン】の街の連中はコイツを求めて殺し合ってるかもしれねぇ……」
「やっぱり禁制にしません!?」
殺し合いにまで発展しちゃったらダメでしょ!?
「ってなわけで、今すぐ行きたいわけよ。いいか?」
「わ、分かりました! すぐに行きましょう」
こんな調味料一つで殺し合いとかシャレにならん! 冗談だと信じたいが……スカーさんの表情がマジすぎて訊けないよね!
――――こうして、無事顔合わせや確認を終えた俺たちは、すぐに港町【サザーン】へと出発するのだった。
……お願いだから、血の海じゃなくて青い海を見せてね!
2021年10月12日 09点10分