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津村まことさん:『デジモンテイマーズ』松田啓人役。ほか代表作に『サザエさん』磯野ワカメ役、ゲーム『ラチェット&クランク』シリーズのラチェット役など。
関弘美さん:『デジモンアドベンチャー』から4作品に渡り、プロデューサーを担当。代表作に『おジャ魔女どれみ』シリーズなど。
デジモンパートナーズスタッフ:デジモン好き30代
3年ぶりの再会!
津村:お久しぶりです。
関:お久しぶりです。昔の「スタジオ タバック」があった場所で行った、Blu-ray BOXの特典ドラマCDの収録が、最後にお会いしたタイミングですよね。
津村:スタジオが変わったことを知らなかったので、驚きました。タバックで収録していた当時は、スタジオに幽霊がでるという話をよくしていました(笑)。
関:ありましたね~。第2スタジオというダビングしかしない部屋に、よく出没するという伝説を聞きました。
津村:そうなんですね。私は別のスタジオで、「この席によく座ってるよ」と聞いたことがあります。
関:霊感が強い声優さんが、そのような話を言い始めたんですよね。シナリオを書かれていた小中千昭さんが、怪談話がすごく好きな方でしたので、こんなお話こそ『デジモンテイマーズ』対談の導入には相応しいことかもしれません(笑)。
スタッフ:すごく「らしい」お話だと思いました。
オーディションで起こったハプニング
スタッフ:当時、そんな怪談話のあるスタジオタバックで収録されていた「デジモン」4作品ですが、津村さんは当時「デジモン」シリーズにどのような印象をお持ちでしたか?
津村:オーディションのお話をいただいてから「デジモン」のアニメについて調べたのですが、「今こんな作品が人気なんだ!」という強い印象受けました。
スタッフ:『デジモンテイマーズ』の概要を知ったときの印象を教えて下さい。
津村:自分の考えたものが実際に出現するって、とても憧れるシチュエーションですよね。なので「ギルモン」という存在は、すごく素敵だなと思いました。ストーリー展開は、台本を読みながら把握していきました。なので、「こう演じよう」と考えるよりかは、いただいた台本にしっかり向き合いながら演じていきました。
スタッフ:それではストーリーの全容は、最終回まで全て演じてから把握されたんですね。
津村:はい。ですが『テイマーズ』のストーリーは結構難しかったですよね。大人の頭で考えると「これはどうしてこうなるの?」と理屈っぽくなってしまうので、純粋に子どもの頭に切り替えて考え、受け止めていました。最後のほうは私もあまり理解できていないかも…(笑)。
関:大丈夫ですよ。私もプロデューサーとして十分に理解できたかと聞かれたら、「難しかった」という結論になりますから(笑)。やはり小中さんがSFなどへの造詣が深く、説明が難しかったので、シリーズディレクターの貝澤さんと一緒になってニュアンスを掴もうと精一杯でした。
津村:でも、純粋に面白かったです。改めて1話を見直しましたが、すごく良かった。今見ても古さを感じないですよね。今の子ども達にもぜひ観てもらいたいです。
関:小中さんから提案されて拍手喝采したのが、『デジモンアドベンチャー』や『02』と異なり、熱血型の主人公にしないということでした。等身大で、ノートに落書きしていそうな普通の小学生。今までの東映アニメーションのキャラ造詣とは違う形を目指したかったのですが、男の子の持っているデリケートさを表現できる声優さんは少なく、ピンとこなかったんです。そんな中のオーディションで、啓人のキャラクターの方向性に一番ピッタリだと小中さんと意見が一致したのが、津村さんでした。キャラクターをパターンに当てはめて演じる声優さんが多い中でどのジャンルにも染まっていない、男の子としてナチュラルな声をされていました。
津村:ありがとうございます。
関:私も小中さんも、1回目のオーディションから既に注目して審査を通過させていました。当時のオーディションはテープで管理していたのですがハプニングがあり、一次審査を通過した声を全て聞き直したときに、津村さんのテープがなかったんです! 当時の担当者の単純な手違いで、もれてしまっていたんです。急いでタバックに電話して、取り寄せました。
津村:それ聞いたことあります。当時、打ち上げのときに小中さんから!
関:それくらい津村さんの声が印象的だったんです。「あの声の芝居が入っていない!」って気がつくぐらいに。
津村:嬉しいです。
関:あの大騒ぎは一生忘れられない事件です。
スタッフ:選考にもドラマがあったんですね。
津村:合格したと聞いたときは、通年シリーズの主役は初めてだったので、「え!なんで私?」と驚きつつも、一方では「へぇ~」と客観的に考えていました。
野沢雅子さんがいるという安心感
スタッフ:津村さんは他の声優さんとご一緒していかがでしたか?
津村:キャストさんもスタッフさんも初めてお会いする方たちばかりでしたので、非常に緊張しました。やはりなんといっても、野沢雅子さんがいらっしゃいましたし。
関:そこですよね(笑)。わかります。
津村:緊張はしましたが、野沢さんがいらっしゃったおかげで、逆に伸び伸び演じられました。どっしり構えられているので、演技では甘えることができて。とても素敵な方で、ありがたい存在です。
関:大ベテランの方がアフレコ現場にいらっしゃると、他のメンバーは非常に安心されますよね。『デジモンアドベンチャー』のときは、藤田淑子さんがいたおかげで、場が生き生きとしていました。
スタッフ:野沢さんの存在は大きいんですね。起用された理由はそこにあるのでしょうか?
関:そうですね。『テイマーズ』のチームをまとめてくれる、あるいは引き締めてくださる方としてお願いしました。でも人間の声を演じるとイメージに引っ張られてしまうので、デジモンとして重要なポジションであるギルモンを演じていただくことになりました。
津村:野沢さんの場合はオーディションではないですよね。
関:はい、最初から役を決めて依頼しました。
スタッフ:初めての収録時はいかがでしたか?
津村:ただただ緊張していました。ギルモンは最後に少しだけの登場でしたので、野沢さんは後ろから見守ってくれていて。今観返すと生き生きと演じてられていたと思いました(笑)。
関:『テイマーズ』の第1話は、忘れられない1話です。収録スタジオが大久保にあったので、物語の舞台・新宿の近くにあるんですよね。なので、収録の帰りがけにすれ違う小学生が、まるで物語に登場してくる子どもたちのような感覚がありました。
津村:啓人は本当に普通の少年なんですよね。自分で言うのもなんですが、その弱さがあるところが、自分の声に合っていたのかなと思います。





