生盾勇成名3
岚之一族吧
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level 4
堕ちた名声
 あれから一週間の時が流れた。
 俺は未だに城の近隣を拠点に活動している。
「おい、盾のあんちゃん」
「ああ!?」
 城を飛び出し、インナー姿という半裸姿で町を歩いていると武器屋の親父に呼び止められた。
 ちょうど武器屋の前を歩いていたというのも理由だが、何のようだと言うのだ。
「聞いたぜ、仲間を強姦しようとしたんだってな、一発殴らせろ」
 俺の話など最初から聞くつもりの無いのか親父が怒りを露にして握り拳を作っている。
「てめえもか!」
 どいつもコイツも俺の話を聞くつもりがありやしねえ。
 そりゃあ、俺はこの国、この世界からしたら異世界人で常識には疎いのかもしれないが、間違っても嫌がる女を犯すような真似は絶対にしない。
 あー……なんだ。武器屋の親父があのクソ女の顔に見えてきた。
 今なら殴り殺せそうだ。
 俺も強く拳を握って睨みつける。
「う……お前……」
「なんだよ。殴るんじゃなかったのか?」
 親父は握り拳を緩めて警戒を解く。
「い、いや。やめておこう」
「そうか、命拾いしたな」
 今ならどんなに攻撃力が低くても満足するまで人を殴れる自信がある。
 しかし、無意味に殴るのもなんだと自分を言い聞かせ、これからの活動のために金稼ぎに行こうとする。
 バルーンでも殴れば少しは気が晴れるだろう。
「ちょっと待ちな!」
「なんだよ!?」
 城門を抜けて草原に行こうとする俺に武器屋の親父がまた呼び止める。
 振り返ると小さな袋を投げ渡される。
「そんなカッコじゃ舐められるぜ。せめてもの餞別だ」
 袋の中を確認すると少し煤けたマントと麻で作られた安物の服が入っている。
「……ちなみに幾らだ?」
「銅貨5枚って所だな。在庫処分品だ」
「……分かった。後で返しに来る」
 下着で動き回るものさすがにどうかと思っていた所だ。一応、商売として受け取ろうじゃないか。
「ちゃんと帰って来いよ。俺は金だけは信じているんでな」
「あーはいはい」
 俺はマントを羽織ながら、服を着て、草原へ出るのだった。
 それから俺は草原を拠点にバルーン系を討伐していった。
「オラオラオラオラオラオラオラ!」
 一匹、五分掛かるが幾ら噛み付かれてもダメージを受けないので困る事態は無い。
 憂さ晴らしに一日中戦って、ある程度のバルーン風船を手に入れた。
 レベルアップ!
 Lv2になりました。
 オレンジスモールシールド、イエロースモールシールドの条件が解放されます!
 そして、念には念をで色々と仕込みや下調べを日中に行う。
 夕方頃になり、俺は空腹を覚えた。
 渋々、城下町に戻り、魔物の素材を買い取る商人の店に顔を出した。
 小太りの商人が俺の顔を見るなりへらへらと笑っていやがる。
 ……思いっきり足元を見るつもりだな。
 見るだけで分かる。
 先客が居て、色々な素材を売っていく。
 その中に俺が売ろうと思っているバルーン風船があった。
「そうですねぇ……こちらの品は2個で銅貨1枚でどうでしょう」
 バルーン風船を指差して買い取り額を査定している。
 2個で銅貨1枚か……。
「頼む」
「ありがとうございました」
 客が去り、次は俺の番になった。
「おう。魔物の素材を持ってきたんだが買い取ってくれ」
「ようこそいらっしゃいました」
 語尾にヘヘヘと笑っているのが聞こえないとでも思ったのか。
「そうですねぇ。バルーン風船ですねぇ。10個で銅貨1枚ではどうでしょうか?」
 5分の1! どれだけ足元を見やがる。
「さっきの奴には2個で銅貨1枚って言ってなかったか?」
「そうでしたかね? 記憶にありませんが?」
 何分、うちも商売でしてねぇ……等と言い訳を続けている。
「ふーん。じゃあさ」
 商人の胸倉を掴み、引き寄せる。
「ぐ、な、何を――」
「コイツも買い取ってくれよ。生きが良いからさ」
 ガブ!
 俺はマントの下に隠れて噛み付いているオレンジバルーンを引き剥がして商人の鼻先に食いつかせる。
「ギャアアアアアアアアアアアアア!」
 転げまわる商人の顔に引っ付いているバルーンを引き剥がしてやり、商人を足蹴にする。
「このままお前を草原まで引きずって、買い取って貰おうか?」
 マントの下に隠していた5匹のバルーンを見せ付ける。
 そう、幾ら噛み付かれても痛くも痒くも無いなら、引き剥がして誰かに引っ付けることが出来るのではないかと閃いたのだ。
 我ながら名案であり、こうして交渉の役に立っている。
 如何せん。攻撃力が無いので、脅しが出来ないしな。
 コイツも理解するだろう。俺がそれを実行した時、自分が骨すら残らずバルーンの餌食になる未来を。
「高額で買えとは言わんよ。でも相場で買取してもらわないと話しにならないからさ」
「こんな事をして国が――」
「底値更新するような値で冒険者に吹っかけた商人の末路はどうなんだ?」
 そう、この手の商人は信用が第一、俺を相手ではなく、普通の冒険者相手にこんな真似をしたら殴られかねない。
 しかもだ。客が来なくなるオプション付きだ。
「ぐ……」
 睨み殺さんとばかりに恨みがましい目を向けていた商人だったが、諦めたのか力を抜く。
「……分かりました」
「ああ、下手に吹っかけたりせず、俺のお得意様になってくれるのなら相場より少しなら差し引いても良い」
「正直な所だと断りたい所ですが、買取品と金に罪はありません。良いでしょう」
 諦めの悪い人物だと理解したのか、買取商は俺のバルーンを相場よりちょっとだけ少なめで買い取ってくれた。
「ああ、俺の噂を広めておけよ。ふざけたことを抜かす商人にはバルーンの刑だ」
「はいはい。まったく、とんだ客だよコンチクショウ!」
 こうして今日の稼ぎを手に入れた俺はその足で武器屋の親父に服とマントの代金を払い。飯屋で晩飯にありついた。
 ただ、何故かまったく味がしない。最初はふざけているのかと思ったが俺の味覚がどうかしているようだ。
 宿? 金が無いから草原で野宿だよ! バルーンに噛み付かれていたって痛くも無いから問題ない。
 次の日の朝、目が覚めると鳥葬みたいにバルーンに食いつかれていたけど、ストレス発散に殴り割りをしてやった。
 朝から小銭ゲットだぜ!
 それからは死に物狂いで戦わずとも金の稼ぎ方を覚えた。
 まず、バルーンの戦利品以外にも売れる品を見つける。
 それは草原に群生している薬草である。
 薬屋の卸問屋から売っている薬草を見て覚え、買取をしている店を見つける。
 後は草原で似た草を摘んでいると、盾が反応した。徐に採取した薬草を盾に吸わせる。
 リーフシールドの条件が解放されました。
 そういえばウェポンブックを見ていなかったな。
 俺はウェポンブックを広げて点灯している盾を確認する。
 スモールシールド
 能力解放! 防御力3上昇しました!
 オレンジスモールシールド
 能力未解放……装備ボーナス、防御力2
 イエロースモールシールド
 能力未解放……装備ボーナス、防御力2
 リーフシールド
 能力未解放……装備ボーナス、採取技能1
 ヘルプで再確認する。
『武器の変化と能力解放』
 武器の変化とは今、装備している伝説武器を別の形状へ変える事を指します。
 変え方は武器に手をかざし、心の中で変えたい武器名を思えば変化させることが出来ます。
 能力解放とはその武器を使用し、一定の熟練を摘む事によって所持者に永続的な技能を授ける事です。
『装備ボーナス』
 装備ボーナスとはその武器に変化している間に使うことの出来る付与能力です。
 例えばエアストバッシュが装備ボーナスに付与されている武器を装備している間はエアストバッシュを使用する事が出来ます。
 攻撃3と付いている武器の場合は装備している武器に3の追加付与が付いている物です。
 なるほど、つまり能力解放を行うことによって別の装備にしても付与された能力を所持者が使えるようになるという事か。
 熟練度はおそらく、長い時間、変化させていたり、敵と戦っていると貯まる値だろうな。
 何処までもゲームっぽい世界だ。
 ウンザリした思いをしつつ、リーフシールドの装備ボーナスに興味を引かれる。
 採取技能1
 おそらく、薬草を採取した時に何かしらのボーナスが掛かる技能だろう。
 今、俺は金が無い。
 ともすればやることは一つ、どれだけ品質が良くて労力の低い物を手に入れるかに掛かっている。
 俺は迷わずリーフシールドに変化させた。
 シュン……という風を切るような音を立てて、俺の盾は植物で作られた緑色の草の盾に変わる。
 ……防御力の低下は無い。元々スモールシールド自体が弱すぎたのだ。
 さて、目の前に群生している薬草を摘んでみるか。
 プチ。
 良い音がして簡単に摘み取れる。
 ぱぁ……
 何か本当に淡く薬草が光ったように見せた。
採取技能1
 アエロー 品質 普通→良質 傷薬の材料になる薬草
 アイコンが出て変化したのを伝えてくれる。
 へー……簡単な説明も見えるのか、思いのほか便利だな。
 その後は半ば作業のように草原を徘徊し袋に薬草を入れるだけでその日は終わった。
 ちなみに採取をしていた影響なのか、それとも変化させて時間が経過したからかリーフシールドの能力解放は直ぐに終わった。
 ついでに他の色スモールシールドシリーズもその日の内に解放済みとなる。
 そして俺は城下町に戻り、袋を片手に薬の買取をしてもらう。
「ほう……中々の品ですな。これを何処で?」
「城を出た草原だよ。知らないのか」
「ふむ……あそこでこれほどの品があるとは……もう少し質が悪いと思っていましたが……」
 等と雑談をしながら買取をしてもらう。この日の収入は銀貨1枚と銅貨50枚だった。
 今までの収入としてはかなり多い。むしろ記録更新だ。
 ちなみに酒場で飯を食っていると仲間にして欲しいと声をかけてくる奴がチラホラと出てくる。
 どいつもガラの悪そうな顔の奴ばかりでウンザリした。
 ……あの日から何を食べても味がしない。
 酒場で注文した飯を頬張りながら何度目かの味覚の欠落を自覚する。
「盾の勇者様ー仲間にしてくださいよー」
 上から目線で偉そうに話しかけてくる。
 正直、相手にするのもわずらわしいのだけど、目つきが、あのクソ女と同じなので腹が立ってきた。
「じゃあ先に契約内容の確認だ」
「はぁい」
 イラ!!
 落ち着け、ここで引き下がると何処までも着いて来るぞこの手の連中は。
「まず雇用形態は完全出来高制、意味は分かるな」
「わかりませーん」
 殴り殺したくなるなコイツ!
「冒険で得た収入の中でお前等に分配する方式だ。例えば銀貨100枚の収入があった場合、俺が大本を取るので最低4割頂く、後はお前等の活躍によって分配するんだ。お前だけなら俺とお前で分ける。お前が見ているだけとかならやらない。俺の裁量で渡す金額が変わる」
「なんだよソレ、あんたが全部独り占めも出来るって話じゃねえか!」
「ちゃんと活躍すれば分けるぞ? 活躍出来たらな」
「じゃあその話で良いや、装備買って行こうぜ」
「……自腹で買え、俺はお前に装備を買ってまで育てる義理は無い」
「チッ!」
 大方、俺が装備品を買ってやって、無意味に後ろに着いてこようとしていたのだろう。
 挙句の果てにどこかで逃亡して装備代を掠める。
 汚いやり方だ。あのクソ女と同類だな。
「じゃあ良いよ。金寄越せ」
「あ、こんな所にバルーンが!」
 ガブウ!
「いでー! いでーよ!」
 酒場にバルーンが紛れ込んだと騒ぎになったけど俺の知ったことではない。騒いでいる馬鹿に噛み付くバルーンをサッと引き剥がし、食事代を置いて店を去った。
 まったく、この世界にはまともな奴は居ないのか。
 どいつもコイツも人を食い物にすることしか考えてない。
 とにかく、そんな毎日で少しずつ金を貯め、気が付いた頃2週間目に突入した。
2019年01月06日 07点01分 1
level 4
お子様ランチの旗
「アンタ……」
 武器屋に顔を出すと親父がラフタリアを連れた俺を見て絶句しながら声を絞り出す。
 そう、俺が欲しいのは戦う物……攻撃力なのだ。
 武器を買わせなければ話にならない。
「コイツが使えそうで銀貨6枚の範囲の武器を寄越せ」
「……はぁ」
 武器屋の親父は深い溜息を吐いた。
「国が悪いのか、それともアンタが汚れちまったのか……まあいいや、銀貨6枚だな」
「後は在庫処分の服とマント、まだ残ってるか?」
「……良いよ。オマケしてやる」
 武器屋の親父が嘆かわしいと呟きながら、ナイフを数本持ってくる。
「銀貨6枚だとコレが範囲だな」
 左から銅、青銅、鉄のナイフだ。
 グリップの範囲でも値段が変わるようだ。
 俺はラフタリアの手に何度もナイフを持ち比べさせ、一番持ちやすそうなナイフを選ぶ。
「これで良い」
 ナイフを持たされて顔面蒼白のラフタリアは俺と親父に視線を送る。
「ホラ、オマケの服とマント」
 親父はぶっきらぼうに俺にオマケの品を渡し、更衣室へ案内させる。
 ナイフを没収した後、ラフタリアにオマケの品を持たせて行く様に指示する。
 よろよろと咳をしながらラフタリアは更衣室に入り、着替える。
「まだ小汚いな……後で行水でもさせるか」
 草原の近くに川が流れている。
 この国にも通る川とは上流から分岐した川で、最近では俺の生息地域はそこにシフトしている。
 魚を釣れば食料にも困らないので良い場所だ。
 手づかみでも取れるくらい魚が居て、フィッシュシールドと言う解放効果、釣り技能1という盾も既に取得している。
 おずおずと着替えを終えたラフタリアは俺の方へ無言で駈けてくる。
 命令無視は痛みを伴うのが分かっているのだろう。
 俺はラフタリアの視線にまで腰を降ろして話しかける。
「さて、ラフタリア、これがお前の武器だ。そして俺はお前に魔物と戦う事を強要する。分かるな?」
「……」
 ラフタリアは怯える目を向けながらコクリと頷く。
 そうしないと苦しくなるからだ。
「じゃあ、ナイフを渡すから――」
 俺はマントの下で食いついているオレンジバルーンをラフタリアの前に見せ付けて取り出す。
「これを刺して割れ」
「ヒィ!?」
 俺が魔物を隠していた事にラフタリアは武器を取り落としそうになるほど驚いた声を上げる。
「え……い……いや」
「命令だ。従え」
「い、いや」
 ブンブンと首を振るラフタリア。しかしラフタリアには命令を拒むと苦しむ魔法が掛けられている。
「ぐ……」
「ほら、刺さないと痛くなるのはお前だぞ」
「コホ……コホ!」
 苦痛に顔を歪ませるラフタリアは震える手に力を込めて武器を握り締める。
「アンタ……」
 その様子を武器屋の親父は絶句しながら見下ろしていた。
 ラフタリアはしっかりと攻撃の意志を持って、俺に喰らいつくオレンジバルーンを後ろから突き刺した。
 ブニ……。
「弱い! もっと力を入れろ!」
「……!? えい!」
 突きが跳ね返されたラフタリアは驚きながら勢いを込めてバルーンにもう一度突きを加える。
 バアン!
 大きな音を立ててバルーンは弾けた。
 EXP1
 同行者が敵を倒したのを理解させるテロップが俺の視界に浮かび上がる。
 ここで一つ、俺は殺意が浮かんだ。
 あのクソ女。俺と同行しているつもりも無ければシステム的なことをするつもりすらなかったという事か。
「よし、良くやった」
 ラフタリアの頭を撫でてやる。
 するとラフタリアは不思議そうな顔をして俺に顔を向けた。
「じゃあ次はこれだ」
 俺に一週間近く喰らいついている一番強いバルーン。レッドバルーンを掴み、先ほどと同じように見せ付ける。
 一週間、飲まず食わずで噛み付いているレッドバルーンは少し弱ってきているようだ。
 これならLv1のひ弱な少女の攻撃だって耐えられないだろう。
 コクリと頷いたラフタリアは先ほどよりもしっかりした目でバルーンを後ろから突き刺す。
 バアン!
 EXP1
 同行者EXP6
 と、アイコンが目に入った。
「よし、どうやら戦えるようだな、行くとしよう」
「……コホ」
 武器を腰にしまうように指示を出し、ラフタリアは素直に従う。
「あーあれだ。言わせてくれ」
「なんだ?」
 親父が俺を睨みつけながらほざく。
「お前、絶対、ろくな死に方しないぞ」
「お褒め預かり光栄です」
 嫌味には嫌味で返してやった。
 店を出た俺はその足で草原の方へ向う為、露店街を進む。
 ラフタリアは町並みをキョロキョロとしながら手を繋いで隣を歩く。
 その途中で食い物屋の屋台の匂いが鼻を刺激する。
 所持銀貨、あと3枚……そういえば小腹が空いてきたな。
 ぐう……。
 ラフタリアの方からそんな音が聞こえてくる。
 顔を向けると、
「あ!」
 ブンブンと違うと主張する。
 何を我慢しているのだろうか。
 今は、ラフタリアが敵を仕留めてくれないと俺の稼ぎにならない。
 刃の無いナイフは必要無い。腹が空かれて力が出ないでは困る。
 俺は手ごろな定食屋を探して店に入る。
「いらっしゃい……ませ!」
 ボロボロの格好なので、店員は嫌な顔をしつつ、座る場所へ案内してくれる。
 その途中、ラフタリアは別の席に座っている親子を眺めていた。
 そして子供がおいしそうに食べているお子様ランチのようなメニューを羨ましそうに指を銜えている。
 アレが食べたいのか。
 席に座った俺達は、店員が去る前に注文する。
「えっと、俺はこの店で一番低いランチね。こいつには、あそこの席にいる子供が食べてるメニューで」
「!?」
 びっくりした表情で俺を見つめるラフタリア。何かそんなに驚くようなものでもあったのだろうか?
「了解しました。銅貨9枚です」
「ほい」
 銀貨を渡し、お釣りを貰う。
 ぼんやりとメニューが運ばれてくるのを待ちながら店内を見渡す。
 ……
 俺の方を見ながらヒソヒソと内緒話をする連中が多いな。
 まったく、とんだ異世界だ。
「なん、で?」
「ん?」
 ラフタリアの声が聞こえたので視線を下げる。
 するとラフタリアは不思議そうな顔で俺を見つめていた。
「お前が食いたいって顔してたからだろ。別のを食いたかったか?」
 ラフタリアはブンブンと頭を横に振る。
 微妙にフケが飛ぶな。
「なん、で、食べさせてくれるの?」
「だから言ってるだろ、お前が食べたいって顔しているからだ」
「でも……」
 何をそんなに意固地になっているのか。
「とにかく飯を食って栄養をつけろ。そんなガリガリじゃこの先、死ぬぞ」
 まあ、死んだらそれまでの稼ぎで新しい奴隷を買うだけだけどな。
「お待たせしました」
 しばらくして注文したメニューが運ばれてきた。
 俺はラフタリアの前にお子様ランチ?を置いて自分の飯(ベーコン定食?)に手を伸ばす。うん。味がしない。
「……」
 ラフタリアがお子様ランチ?を凝視しながら固まっている。
「食べないのか?」
「……良いの?」
「はぁ……良いから食べろ」
 俺の命令にラフタリアの顔が少し歪む。
「うん」
 恐る恐ると言った様子でラフタリアはお子様ランチ(?)に素手でかぶりつく。
 ま、育ちの悪い子はしょうがないよな。
 何やらヒソヒソ話が大きくなっているような気がするけど、気にする必要も無い。
 チキンライスっぽい主食の上にある旗をラフタリアは大事そうに握っている。
 もぐもぐもぐ。
 一心不乱に食べるラフタリア。
 俺はそんな奴隷との食事をしながら、これからの方針を頭に浮かべているのだった。
2019年01月07日 01点01分 4
level 1
「じゃあ真ん中の奴隷を买うとしよう」
「なんとも邪悪な笑みに私も大満足でございますよ」
2019年01月07日 05点01分 5
1