level 8
追随公主
楼主
私は今、盛大に困惑している。 目の前では、青い枪兵が青い猫を连れている。 表情はデレッデレのゆるっゆる。これがかのアイルランドの光の御子か、と思うほどの缓みよう。 ある种のブロークン・ファンタズムと言ってもいっそ、差し支えあるまい。 うわーくすぐってぇー、だとか、あったけぇー、だとか、はしゃぎながらも、猫に配虑してか彼の声量は小さい。挙句声も柔らかい。 头の上に乗せているというシチュエーションも大概如何なモノかと思うのだが、どうなのだろうか。 対する子猫もいい感じに缓んでいる。腹をべったりと彼の额と言うか头と言うか、そこにつけて、眉のすぐ傍に前足を置いている。 背から腰にかけてはランサーの掌が支えていて、一件危ういように见えてもバランスが取れているらしい。 尻尾が支えの手に触れていて、先で彼の肌を时折抚でている。 ……そんな子猫の触れ方に少しばかり、复雑な気分が上乗せされた。 端から见ると、どこの饲い主莫迦かと言いたくなるような絵面である。 いや、事実饲い主で有れば莫迦そのものだ。あればの话、と言うか———、そもそも、彼はどうしてこんな高価な子猫を连れているのか。 そこからまず问うべきではなかったか、と我に返ると、いつの间にかはしゃぐのをやめていたランサーが、子猫と一绪にじっとこっちを见ている。 猫の亲子と目があった。そんな気分になって、思わず眉间に皱が寄ってしまう。「……なんだね。先ほどまでと同じように、はしゃいでいれば良かろう」「いや、だってお前があんまりにも、羡ましそうにこっち见てっから」 もはやこの解釈のどこからツッコミを入れれば良いのだろう。 ツッコミが过ぎても磨り减ると思うのだが、とそれは兎も角。「物欲しそうな颜をした覚えなどない。强いて言うなら呆れていただけだ」「じゃあ、その呆れポイントを一から顺に并べ立てて、仔细に说明してみろっつの」「君が闻き饱きて寝入る长さだぞ。それでも闻く気があるならば构わんが」「………あっそ」 一通りの遣り取りを済ませて、ランサーの颜が不贞腐れる。 重みで多少へんなりした髪を构わず、头の上から子猫を下ろして抱きなおす手つきは、扱い惯れた印象を抱かせるものだった。 ほう、などと感心していたら、抱いた子猫の前足を手にしたランサーが、鼻先に攻撃を仕挂けてきた。 不意を突かれて得た柔らかな肉球の感触に、思わず目が寄ってしまう。 だからひとの颜をみて、益々面白そうに笑うな、そこ。「ンじゃ何だよ、そんな景気の悪い颜して。……ぁ、そーか、何だよ、お前妬いたのか!」 そこはあえて言うとすれば『妬いた?』と疑问符をつけるところだ、このたわけ。 声无く笑う男を睨みつけ、视线で目一杯のツッコミを入れておく。 视线を受けたランサーが颜の前に抱いた子猫を持って来て、ガードの构えを取る。どうしてくれようかこの男。 子猫を睨む訳にも行かず、どうにも渋い颜になってしまうのが自分でも判る。 にぃ、と细く鸣いた猫がまた、前足を鼻先に置いてきた。 今度はランサーの手で寄越された攻撃ではない。毒気を抜かれてしまって、こちらまで表情が缓む。 反撃の様子が无いこちらを猫越しに窥う光フ御子を一瞥して、猫の细い咽喉を指で擽ってやる。 心地良さそうに颚を伸ばして指に懐く様子に、つい笑みを诱われてしまった。「……可爱いな、しかし」「だろー?」「君に似て」「———は?」 賛同を得てにこにこと笑う颜が、ぽろりと零れた言叶に固まっている。 しまったとは思ったが、妬いたんだろう、と胜手に他人の心を読んだ八つ当たりぐらいはさせてもらうことにしよう。「似ているだろう、指やら肌やらに懐いて、心底心地良さそうに目を瞑るところだとか」「ちょ、それは猫の一般的な反応であってだな」「それに、懐き方も随分无防备だしな。尻尾でまで肌に触れてくる辺りも、実に似ている」「いや待て、そもそも俺尻尾ねぇし!?」 慌てた声が烦いのか、それとも抱かれているのに饱きたのか、ランサーの腕の中で子猫が身を捩り、降ろしてと所作で诉えてそのまま、腕の中から床へと逃げた。 あ、と声を上げて残念そうに见送る彼の眦がわずかに赤い。「……颜が赤いぞ? ランサー。 ……ぁあそうか、照れたのか」「うるせぇな、お前がワケわかんねぇこと言ったから、猫が逃げちまっただろ」「心外な。……むしろ、君の反驳の声が、烦かっただけではないのかね」 そうかよ、とまた不贞腐れる颜に手を伸ばす。眦が红潮している様子と同じように、肌から伝わる温度は仅かに高い。 唐突に触れてきた指に惊いた颜が、少しの间を置いて懐いてきた。 はじめは控え目に、すぐに『もっと』とねだるように颜を倾いで肌を寄せる。 応えの代わりにと、掌で頬を抚で直すと、擽ったそうに目を细めて、ン、と鼻に挂かった声が上がった。「ほら、やっぱり———」 似ているじゃないか。 笑み交じりに指摘をすると、彼が势い良く身を寄せてきて、唇と一绪に声の続きも塞がれる。 触れ合う唇に笑う感触を渡して、近づく温もりを抱き込んでから睑を闭じた。End
2007年12月27日 08点12分
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