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最近不想写小说,所以干脆偶尔练练日语输入法吧……一楼送度娘——By 赤雪铭峰
2013年12月29日 03点12分
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六畳间の侵略者!?14
作家 健速 Takehaya
「あの日々をもう一度」(HJ文库)で作家デビュー。
最近お趣味はドライブ。富士山に行きました。富士宫焼き荞麦も美味しかったです。
イラストレーション ポコ Poco
兵库出身のイラストレーター。
好物は焼き荞麦。何だか无性に富士宫焼き荞麦が食べたくなってきました。
インプット 赤雪铭峰 AkayukiMeine
中国の一名なボイラー职人です、趣味でインプットでいだ。
「あれからもう、五年近くたつのね……」
両亲の命日が近づき、时折寂しそうな颜を见せる静香。普段は强くて优しい「大家さん」が、一人の女の子として求めるものとは――?
ほかにも、「ゆりかA,B」の救出作戦に端を発したサトミ骑士団の発足や、妙に仲が良かった皇帝・エルファリアと孝太郎の秘密の関系も描かれる、盛り沢山の14巻!
episode1
静香の“ドラゴンへの道”――そしてダイエット计画が始まる
静香――「……あれっ?」
episode2
ゆるかの“スタンド・バイ・ミー”――ゆりかの悪梦の源は、ダンジョンの奥にあった!?
「いざ行け、サトミ骑士団!」
episode3
フォルトーゼの休日――孝太郎とエルファリアのであいがもたらす运命とは……!?
エルファリア――「実は私、レイオスさまとお付き合いしたいんです」
クラリオーサ――「……えっ」
口絵・本文イラスト ポコ
もくじ
Episode1
静香の“ドラゴンへの道”………………007
Episode2
ゆるかの“スタンド・バイ・ミー”……142
Episode3
フォルトーゼの休日………………………206
后书き………………………………………302
吉祥春风高校の人々ところな荘の住人
松平贤治――孝太郎の幼驯染で亲友。
笠置静香――问答无用に强い、孝太郎の同级生でころな荘の大家さん。
桜庭晴海――孝太郎の所属する编み物部の部长で、一年先辈。ちょっと病弱。
里见孝太郎――ころな荘一○六号室の、一応の借主で主人公で青骑士。
“大地人”クラノ=キリハ――地上侵略を狙うふりをしつつ、思い出の人を探していた知略の人。
“魔法少女”蓝华真希――元ゆりかの敌、悪の魔法少女「ダークネイビィ」。今は静香と同居中。
“魔法少女”虹野ゆりか――一○六号室の危机を诉えていたのも昔、今や“自称”が取られた魔法少女
“幽霊”东本愿早苗――ころな荘一○六号室に取り凭く幽霊少女改め、生霊少女。
“宇宙人”ティアミリス・グレ・フォルトーゼ――皇位継承の试练のため、一○六号室とその住人の支配を狙っていたが……。
“宇宙人”クラリオーサ・ダオラ・フォルトーゼ――ティアと敌対していた宇宙人皇女。最近は何かと孝太郎に頼りにされている。
“宇宙人”ルースカニア・ナイ・パルドムシーハ――ティアの付き人で世话系。青骑士の正体を知る数少ない一人。
2013年12月29日 03点12分
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Episode1 静香の“ドラゴンへの道”
六月も半ばに差し挂かり、季节が本格的な夏を感じさせ始める顷。ころな荘
の大家である笠置静香は、少しだけ切ない気持ちになる。
「まだ、この季节がやってきたのね……」
静香がかべに挂けられたカレンダーを见つめる瞳には、深い爱情と悲しみ、
そして寂しさが同居していた。カレンダーには目付の一つに、赤いぺんて大きな
丸印が付けられている。静香はその目付を、じっと见つめていた。
「あれからもう、五年近く経つのね……」
静香はカレンダーを离れると、本棚の最上段に饰ってある写真を手に取った
。写真には空手の道着に身を包み优胜カップを手にした小学生の女の子と、その
両亲が写っている。笑颜を浮かべている亲子の背后にはころな荘。静香が空手の
大会で优胜した时に撮った、记念写真だった。
「父さん、母さん、私は元気にやっているわ……」
この写真が饰られている场所には、一绪に小さな位牌が置かれている。静香
の両亲は、この写真を撮った二ヶ月后に亡くなった。以来、静香は一人でころな
荘を守ってきた。静香にとってころな荘は両亲の形见であり、同时に想い出のた
くさん诘まった场所でもある。だからこそ静香は、ころな荘を伤付ける者を许さ
ないのだった。
そうやって静香が写真を见ながらしんみりした気持ちになっていたとき。彼
女の足元の畳を突き抜けて、早苗が颜を出した。
『ねぇ、静香。そろそろお茶が入るから降りて来なよ』
早苗は下の阶―一○六号室の天井を通り抜けて、静香を呼びにやってきた。
元幽霊の早苗には、幽体离脱など朝饭前。日顷から部屋の上下の连络には重宝し
ていた。きっと今顷は、早苗の下半身が一○六号室の天井から生えている事だろ
う。
「ありがとう、早苗ちゃん。すぐに行くわ」
静香は下の阶へ降りる事决め、まずは本棚に写真を戻した。すると早苗が、
その写真に目を留める。
『……その写真、静香のパパとママだよね?』
早苗は一目でそれを静香の両亲だと看破した。
「ええ。分かるの?」
静香はそれを不思议に思う。これまで早苗に両亲の写真を见せた事はなかっ
たから。
『うん。ころな荘には结构、残留っしねんって言うんだっけ?そういうの残
ってるから』
「それは……大事にしてたもの」
静香がころな荘に住むようになったのは両亲が死んでからの事だが、手伝い
で扫除をした事くらいはあるだから両亲の热心さは记忆に残っていた。
『だと思うよ。ざんりゅー何とかが沢山见えるってことは、そういう事だも
の』
早苗には静香の両亲の热心さが、霊的な痕迹として感じられる。早苗はそれ
を気軽に伝えたのだが、静香にとっては想い出の実在を证明して贳えた事になる
。静香は胸がいっぱいになり、その目には涙が渗んでいた。
『……んじゃまぁ、ともかく、すぐにおいでよ静香。あんたが来ないとお菓
子が出てこないから』
「ええ。本当にありがと、早苗ちゃん」
静香の気持ちを知ってか知らずか、早苗は早々に姿を消した。静香は、早苗
は気を遣ってくれたのだろうと思っていた。霊的なものが见える早苗だから、静
香の気持ちも见えているに违いなかったから。
2013年12月29日 06点12分
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そして静香は本棚に向き直ると涙を拭い、写真に笑いかけた。
「……父さん、母さん、二人が死んでからずっと寂しかったけど……もう平気よ。里见君が来て、みんなが来て……最初は大変だったけど、今はとても幸せ。こういう日かずっと続いてくれればいいなって、思ってろの……」
今の静香の颜は决して暗くはない。両亲を亡くした悲しみは消えた訳ではないが、今は新たな绊を手にする事が出来た。だから今の彼女は、悲しみだけに心を夺われるような事はない。彼女は笑颜だった。
「……详しい话は、お墓参りの时にするわ。だから申し訳ないけれど、もう行くわね。みんなが私が来るのを待ってくれているから……」
お茶を饮んで、お菓子を食べて、おしゃべりをして。それは他爱のない、当たり前の毎日。けれど静香は、何年も前にて放した筈の当たり前を取り戻せた事を、とても幸せな事だと感じていた。
ギッギッギッ
「……んー、やっぱり体重が増えた気がする……ダイエットしなきゃなぁ……」
おかげで気持ちに余裕が出て、床板が鸣る音ぐらいで一喜一忧することもできる。静香は今、かつてないくらい充実した毎日を送っていた。
「ふふふ、そうだ、みんなにそうだんしてみようかなぁ……」
そして静香は弾むような足取りで二○六号室を后にする。
実のところ、静香が本当に自身の体重を気にしているかどうかは、彼女自身にもよく分かっていない。彼女に分かっている事は、みんなに体重の话をすれば、きっと楽しいに违いないと言う事だけなのだった。
天井を抜けて二○六号室から戻ってきた早苗は、そのままふわふわと宙を漂い、テレビの前にしわっている自身の身体に近付いていく。
「……なあ早苗、お前、それどうやってるんだ?」
『ふえ?』
そのまま身体に合体するつもりだった早苗だが、幸太郎の一言で空中に静止し、首だけを孝太郎の方へ向けた。
「身体はずっとそこでゲームやってるのに、お前は幽体离脱してるだろ?」
実はこの时、早苗の身体はテレビと向かい合いってゲームを続けていた。にもかかわらず、早苗は幽体离脱をして二○六号室に静香を呼びに行った。それは孝太郎だけでなく、一○六号室にいる谁もが不思议に感じる光景だった。
『ああ、そのことか』
早苗は孝太郎が何を不思议に思っているのかを理解すると、指を指挥棒のように振り回しながら、自慢げにからくりを说明し始めた。
『これは最近习得した、早苗ちゃんのごっど好きるなのですよ』
「新技?」
『うん。ちゅっとあんた、他人のふりしてないで、あんたもこっち向きなさいよ』
「う、うん……」
空中の早苗が呼ぶと、ゲームをしていた方の早苗がコントローラーを置き、孝太郎达の方に身体を向けた。だがその頬は軽く赤く染まっていて、目は伏し目がち。どこか照れ臭そうな、困ったような雰囲気で、普段の早苗の印象はそこにはなかった。
「あれ?もしかしてあっちの早苗は……『早苗さん』か?」
孝太郎にはゲームをしていた方の早苗の様子に见覚えがあった。それは记忆がなくなっていたときの早苗の雰囲気にそっくりだったのだ。
『あたり!』
「ちょ、ちょっと待て、分离してどうするっ!!」
孝太郎は慌て始める。だが空中の早苗は落ち着いたままで、そんな孝太郎をなだめるべく、いつも通りの笑颜を作り、両手をぱたぱたと振った。
『落ち着いてよ。分离はしてないから大丈夫だって。ホラ、见て』
続けて彼女は孝太郎にお尻を向ける。すると彼女の腰のあたりには尻尾のようなものがあり、その尻尾らしきものは长く伸びてテレビの前の早苗に繋がっていた。
『有线有线』
「じゃあ、また分离したじゃないのか!?大丈夫なんだなっ!?」
说明を受けてもまだ安心できない孝太郎は、早苗达の周りをぐるぐると回りながら、心配そうな视线注ぎ続ける。孝太郎は早苗が生体の身体を取り戻した时騒动を思い返して、酷く焦っていた。
『うん。まずかったら、今顷こんな呑気にしてないって』
「なんだ……胁かすなよ。あんだけ苦労したんだから、焦ったぞ」
早苗がもう一度颔いたところで、孝太郎はようやく胸をなで下ろす。一绪に気合が抜け、その両肩がカクリと落ちる。
『にゃはははは~、ゴメン』
早苗は新技を自慢したかったが、幸太郎に心配をかけたかったわけではない。だから早苗は素直に诧びた。
「んで、どういう事なんだ?」
无事を确认した事で、ようやく兴味がわいた孝太郎だった。
『うんとね、最近気付いたんだけど、身体からあたしだけで外に出ようとするとこうなるみたいなの。スゴイでしょ?』
しかし反省は数秒の事。すぐに早苗は自慢げに胸を张る。反省はしていたが、同时に幸太郎に自慢したくてうずうずしていたのだ。
「そんな自慢するほどの事じゃないと思うんだけど……」
テレビの前の早苗は、耻ずかしそうに肩をすぼめる。
『こういう隠し芸は自慢するの!力いっぱい!』
2013年12月29日 12点12分
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忘了声明了……咳咳!
本帖内容为原版日文小说内容,版权归HJ文库与作者健速所有,本帖内容仅用于学习与研讨,非用于商业目的,禁止转载,请自觉遵守规则,如因转载发生纠纷本人概不负责
2013年12月29日 12点12分
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赞一个!看了这贴才知道静香的句尾是わ。。。とにかく続いて顽张ってください
2013年12月29日 13点12分
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明天开始上班,录入量就少下来了。另外,我注意到有些日文汉字在帖子中变成了汉字,比如“有线”我打字的时候可不是这样的(╯`□′)╯(┻━┻ 贴吧的文字编码还是有点问题呀
2013年12月29日 14点12分
回复 viphg762 :没办法啊啊啊啊。。。话说我是日语系大一新生的说。。。以后色色请多指教。。。
2013年12月29日 14点12分
回复 月の奏鸣 :请多指教……不过我好羡慕你……因为实际上我没怎么学过日语,也没机会了……码字也是旁边就放着辞典的……
2013年12月29日 15点12分
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贴吧文字编码的原因导致部分日文汉字不能正常显示变成了简体中文,请不要介意(我原文录入可不是这样的哦o(╯□╰)o)
2013年12月29日 14点12分
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空中の早苗の、薄い胸を反らして仁王立ちする自信に満ち満ちた姿。テレビの前で肩をすぼめて照れている大人しい彼女とは正反対だった。
「……お前、もはや何でもアリだな」
『そうでもないよ。魂はくっついちゃってるから、いっしょに使ってる部分は外に出てこれないし、あたしだけじゃちゃんとしたゆーたいりだつは出来ないんだ』
孝太郎は再び二人になった早苗に呆れていたが、空中の早苗は楽しそうだった。彼女としては『早苗ちゃん』と『早苗さん』が同时に存在し得る状况は、面白いので歓迎すべきことなのだ。
「早苗ちゃん、早く戻ってきて。なんだか一人だと落ち着かないの」
しかし『早苗さん』の方はそうではなく、困った状况だと感じていた。自分の一部が外に抜け出ている感覚は落ち着かない。しかも元来が内気な性格なので、孝太郎达の傍にいると照れ臭くて仕方がない。孝太郎に话しかけられてもゲームをやり続けていたのはそれが理由なのだ。
『あんたさ、仮にもあたしなんだから、もっと堂々としてなさいよね』
「そんなこと言われても……」
『孝太郎达が嫌いってわけじゃないんでしょ?』
「そ、それは……そうだけど……」
表面上の性格は违っていても、记忆や考えは共有されている。二人の违いは感情表现が异なるというだけ。结局は同一人物なのだ。
2013年12月29日 15点12分
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「でもそのぉ……好きなら好きで困るというか……だから早く戻ってきてっ、早苗ちゃんっ!」
『あんたね、困ったらあたしに頼るのを止めなさい。もっと自立しないと、立派な大和抚子にはなれないわよ?』
「そんなの、すぐには无理だよ!」
『もぉ……ほんとにしょうがないんだからぁ……』
空中にいる早苗は出来の悪い妹を持った姉のように肩を落とすと、问题の妹に近付いていく。言われた通りに身体の中に戻るつもりだった。もう一人の早苗は、両腕を広げてそれを待ち构える。
「ありがとう、早苗ちゃん」
『明日からちょっとずつ、あんたの人付き合いの训练するからね』
「いいよ、そんなのしなくても」
『ダメ。孝太郎にはあんたのことも好きになって贳うんだから』
「そんなの无理だよぉ」
『うるさい。やるったらやるの』
「うそだぁ~~」
半泣きの身体に、幽体の早苗がするりと入り込む。その瞬间、早苗の表情が一変した。半泣きの颜から、ちょっと不満げな颜へ。それはついさっきで宙を飞んでいた早苗が浮かべていた颜だった。
今の早苗は、二人の早苗の性格が、状况に応じて入れ替わる。今は孝太郎达の傍にいるので、驯染み深い『早苗ちゃん』の性格が表に出てくるのだ。
「そんな訳で孝太郎、明日からあの子の特训するんでヨロシク」
「……早苗……お前、灭茶苦茶だぞ……」
「どこが?」
早苗は不思议そうに瞬きを缲り返す。すると少し前まで半泣きだったせいで、その瞳からぽろりと涙が零れる。
「どこがってなぁ、オイ……」
孝太郎は妹を持つ兄のようにその涙を拭ってやりつつ、头を抱える。しかし早苗はどこ吹く风。楽しそうに足をバタバタさせながら微笑んでいた。
「でも特训は必要なんだよ」
「なんでだ?」
「あの子もあたしだから、孝太郎に惯れて欲しいんだ。孝太郎にはあたしの全部が好きになって欲しいもん。もちろんみんなにもね?」
「えーと……」
これまでの话は突飞な内容の连続だったが、早苗が最后に口にした理由だけは至极まっとうだった。『早苗ちゃん』と『早苗さん』は同じ早苗だ。なのにその片方とだけ仲良くするのは确かに问题だった。早苗に『早苗ちゃん』である事を求めるのは、都合のいい部分だけを求めるに等しい。その事は二人の早苗の融合を阻害しかねない。早苗の言叶は正しかった。
「だめ?」
早苗は軽く首を倾げ、じっと孝太郎を见つめる。そして涙を拭っている孝太郎の手に、頬を摺り寄せる。どちらの早苗も、孝太郎が大好きなのだ。
「駄目じゃないが……ええと、あの状态が身体に悪いと困るから、カラマやコラマがいるときだけだぞ?」
「わかったホ!」
そして早苗は埴轮达の口真似をしながら、孝太郎の背后に回り込んでいく。
「分かってるんだか、分かってないんだが」
「分かってる。らぶいずおーる」
2013年12月30日 15点12分
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「……便利な言叶だ」
「えへへへへ~~」
早苗は孝太郎の背中に飞びつくと、両腕でしっかりと抱き缔める。今の彼女に大事な事は、それが全てだった。
孝太郎は早苗とのやりとりが一段落したところで、背中に彼女を乗せたまま自分の作业に戻った。実は孝太郎は、ある事に使う道具を手に入れしている最中だった。
「……ところで里见君、どうして网なんか磨いてるんですか?」
それがさっきから気になっていた晴海は孝太郎の手元を覗き込む。孝太郎は今、昔ながらの竹を使った虫捕り网の持ち手の部分を热心に磨いていた。
「いいところに気がつきましたね、桜庭先辈」
孝太郎は磨く手を休めると、晴海に向かって网を差し出す。网は美しく磨き上げられ、孝太郎の瞳と同じくらい辉いていた。
「このマクシミリアンは、夏こそが真価を発挥する季节!」
「まくしみりあん?」
言叶の意味が理解できず、晴海は目を丸くする。
「……桜庭先辈、マクシミリアンはぁ、里见さんがあの网に付けた名前ですぅ」
知らない単语が出て来て困惑する晴海の耳に、隣にいたゆりかが事情を嗫く。先程まではその逆に、晴海から宿题の解き方を教えてもらっていたゆりかだった。
「ああ、なるほど……」
事情を理解した晴海は軽く颔きながら目を细め、孝太郎に笑いかけた。
「里见君は、虫捕りに行くんですか?」
「はい。夏といえば虫。そして夏の虫の王様といえば――」
孝太郎はそこまで言ったところである问题に気付き、一度周囲の様子を确认する。だが幸い孝太郎が警戒したような状况ではなく、すぐに话を続けることが出来た。
「――夏の虫の王様といえばカブトムシ。ついに来るぜ、俺の季节が!」
孝太郎は虫捕り网を固く握り缔め、瞳を强く辉かせる。孝太郎は今年の夏はカブトムシを捕りに行くつもりでいた。虫捕り网のマクシミリアン、虫カゴのヘンリエッタ。仕挂けに使う树液が诘まったボトルはジェラルディーン。まだ初夏にも拘らず、孝太郎は既に临戦态势だった。
2013年12月31日 14点12分
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level 8
「でもでもぉ、里见さぁん、カブトムシを捕って来てもぉ、ここでは饲えないんじゃないですかねぇ?」
ゆりかはこの部屋にやってくるカブトムシの身体の安全を心配していた。これまでの経験からすると、ゆりかにはカブトムシに明るい未来があるとは思えなかったのだ。
「ふっふっふ、案ずるなゆりか。今年の俺は一味违うぜ。なんたってなぁ、今年の俺にはクラリオーサ殿下がついているからな」
「ん?呼びまして?」
孝太郎の言叶にクランが反応する。だがその彼女の声は、天井に近いところから闻こえて来ている。クランは自分の発明品の力で一○六号室の壁を床として使い、そこに寝そべって本を読んでいた。人が増えて狭くなった一○六号室では重宝する技术だった。
「呼んだぞ。みんなにお前んとこでカブトムシを饲うって话をしたんだ」
「ああ、その事でしたの。确かにベルトリオンとそういう约束をしておりましてよ。この星の生物や生态系にも兴味はありますし」
「それで孝太郎、そんなに大喜びで准备してんのね」
一○六号室ではカブトムシは饲えない。だから昨年はゆりかが预かってきたカブトムシを一时的に饲育しただけだった。しかし今年はクランがいるので。彼女の宇宙船でカブトムシを预かって贳う事が出来る。だから孝太郎の瞳は辉き、夏の到来を今か今かと待ち构えているのだった。
「お慕い申し上げております、クラリオーサ殿下」
「んもぉ……こんな时ばっかり皇女扱いなさって……」
虫捕り网片手に目を辉かせている时に慕っていると言われても、クランは额面通りには受け取れない。特に孝太郎は先日、正式にティアの家臣になったばかり。少々出遅れた感があるので、クランの心境は复雑だった。
「里见君、なんだったらウチで饲いますか?」
クランが渋い颜をしていたので、晴海がお世话を名乗りでる。晴海は攻撃的な动物や虫は怖いのだが、危険のない虫に対しては特に悪い感情を持っていなかった。
「大丈夫です、桜庭先辈。クランのところには全自动の饲育装置があるんです」
「クランさん、だったらどうしてお嫌なのですか?」
専用の装置があるので、别に面倒があるわけではない。にも拘らず、クランは嫌そうな颜をしている。晴海は不思议そうにクランを见上げた。
「……别に嫌という訳では……そ、そのぉ……」
クランは軽く頬を赤らめると、眼镜の向こう侧で目を伏せる。その仕草で晴海はピンときた。
2014年01月02日 14点01分
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level 8
「ああ、そういう理由でしたか」
晴海はすぐに笑颜を作り、一瞬だけ孝太郎を见てから、クランに笑いかけた。
「……」
するとクランはこれまで以上に颜を赤くして、完全にそっぽを向いてしまう。
「どういう理由ですか?」
「それは乙女の秘密です」
孝太郎はピンときていないので说明が欲しかったが、晴海は楽しそうな笑颜を崩さないまま、孝太郎の求めを敢然と拒否した。
そのまましばらくカブトムシに関してああでもないこうてもないととりとめのない话をしていた孝太郎达だったが、夕食の买い物に出かけていたティアとルース、キリハの三人が帰宅すると、话题は自然と立ち消えになった。また二阶から降りてきた静香と、お茶を淹れていた真希も同じタイミングで六畳间にやってくる。これで総势十人。六畳间のはいささか多过ぎる人数だが、これが最近の一○六号室の日常的な风景だった。
「あら、蓝华さんお茶を淹れるの上手くなってきたわね?」
「ありがとう、笠置さん。実はお茶を上手に淹れる楽しさが分かってきたんです」
「孝太郎、ワッフル食べさせて。あーん」
「早苗、ゲーム止めてこっち来い。无精をしようとするな」
「クラン殿下、お茶をどうぞ」
「ありがとう、パルドムシーハ。そこに置いておいて下さいな」
「桜庭せんぱぁい、あれってどういう仕组みなんでしょうねぇ?お汤呑みが真横に立ってますよぉ?」
「さぁ……魔法じゃないっていうのが信じられませんけど……」
「キリハよ、后でこの菓子を一つ贳っていってよいか?」
「母上にも食べさせてやりたいのじゃ」
「分かった。今のうちに一つ取り分けておこう」
この人数が一斉に喋るので、一○六号室はいつでも明るく騒々しい。更にはここに、普段は一绪に逃げてきた国民たちとともに『青骑士』にいる、エルファリアが加わる事もある。魔法や科学といった様々な手段で防音や防振を施していなければ、ころな荘の他の住人达が怒鸣り込んできているに违いないかった。
2014年01月03日 11点01分
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level 8
「キリハさん、ちょっといいかな」
キリハがエルファリアの为のお菓子を取り分け终えるのを待って孝太郎は彼女に近付いていく。
「构わないが」
キリハは素直に颔く。彼女はお菓子の包をティアに手渡すと、这い寄ってきた孝太郎と向き合うように座り直した。
「ちょっと脱いでくれるか?」
「分かった」
キリハは再び素直に颔くと、帰ってきてからも着たままになっている高校の制服に手をかけた。そして一気に脱いでしまう。
「きゃああぁぁぁぁぁっ!!里见君っ、さりげなく何を要求してるのよっ!?」
「さっ、サトミさまぁっ!?」
「そうだよ孝太郎っ!!それは日本男児のやる脱がし方じゃないって!!帯を持って、こう、ぐるぐるーってっ!!」
「……あのぉ、早苗ちゃん、それはちょっとだけぇ、怒る部分が违うんじゃないですかねぇ?」
「桜庭さん、里见君は女の子の裸が见たいんですか?だったら私が……」
「违う违うっ!!蓝华さんっ、それは勘违いですよっ!!脱いじゃ駄目っ!!」
孝太郎が突然キリハに服を脱ぐように言ったおかげで、一○六号室は騒然となった。
まず怒り出したのが静香とルース、そして早苗。そこにゆりか、晴海、真希が加わって騒然は拡大。それは部屋に施されている防音や防振の限界に近い大騒ぎだった。
「见せてくれ」
「好きなだけ见てくれ」
しかしそんな騒ぎを完全に无视し、孝太郎は身を乗り出すようにしてキリハの白い肌に热い视线を注ぐ。それは変质者でもなかなかしない、酷く真剣な眼差しだった。
「きゃーきゃーきゃー!!里见君の马鹿あぁあぁぁぁっ!!里见君は违うって、信じてたのにぃぃぃぃっ!!」
怒りに震える静香が、拳を振りかざして孝太郎に迫る。するとその时、孝太郎は突然表情を缓め、その场に腰を落とした。おかげで静香の浑身の一撃は盛大に空を切った。
「はぁ……やれやれ、ちゃんと伤は塞がったみたいだな?」
孝太郎は自分の身に危険が迫っていた事など露知らず、上着を脱いだ状态のキリハに笑いかける。大きく安堵していたので、この时の孝太郎の笑颜は穏やかだった。するとキリハの方も同じような笑颜を作り、大きく颔いた。
2014年01月04日 15点01分
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