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莲布、藕丝(ぐーし)织
先日、一人の坊さんが私の店に访ねてきた。
坊さんと言うのは私の早合点で、その人は法衣店の主人だった。头を丸めたその风貌は坊さんのようで、商売人には见えなかった。
最近ビジネスマンでも头を坊主にするのが流行っていると闻くけれども、坊主头の人が谁でも坊さんに见えるわけではない。やはり法衣店の店主ともなると职业柄僧侣に一脉通じるところがあるのだろうか。名刺の裏には「南无釈迦牟尼仏」と金で印刷してあった。
彼は持って来た风吕敷包みを开け、布を広げて见せてくれた。その布は一见麻布のようだけれども、手触りは紬のようだった。
「これは莲で作った布です。」
莲で创った布…、一体どのようにして创るのだろうか。品布や芭蕉布は、その干の繊维で作る。莲の干と言っても莲の干は华奢な叶柄である。あんなもので糸が采れるのだろうか。
莲と言えば即、寺や仏教を连想する。僧侣のような法衣店の主人が広げる莲で作った布。何やら因縁めいた话だった。
仏像の台座や寺院の饰り物に莲は欠かせない。阿弥陀経には、人が死ぬと即极楽の莲の叶の上に生まれ変わると说いているという。仏教に限らず、ヒンドゥー教でも莲は特别な存在で、天地の创造にかかわっていると言う。

彼は写真を広げて说明し始めた。「これはビルマで织られた布です。」
话を闻けば闻くほど不思议な布である。
莲の茎(叶柄)を五本束ねて轮切りにする。轮切りにした面を引き离すと、纳豆の様にねばねばした繊维が糸を引く様に出てくる。その糸を台の上で粘土のヒモを造る様に掌で転がすと粘液が次第に固化して糸になるという。
繊维が出なくなると、その端が固化する前に别の茎の束を切り繋いでゆく。それを何度も缲り返して长い一本の糸を创ってゆく。
莲の茎の树液で糸を创る。何だか梦のような话だけれども蚕が口から液体を吐いて糸を创るのと似ていなくもない。そして一本の糸を创るのに掌で転がしながら创るという手间隙…私は结城紬の糸を思い浮かべていた。
「结城紬のようですね。」
私がそう言うと、
「そうですね、结城紬も手间隙がかかると闻いていますが。」
结城紬は大层手间隙の挂かる织物だけれども、普段着として用いられている。王侯将相の着物ではない。その莲で创った织物は何に使うのだろうか。
「ビルマでは僧侣の袈裟に使われています。」
ビルマの国民の90%が仏教徒である。僧侣に対する尊敬の念は厚く、ほとんどのビルマ人は一生のうち一度は僧侣になると言う。その僧侣の袈裟を创る为に莲の布を织っている。しかし、日本とは比べ物にならないほど多くの僧侣がいるビルマではその莲の袈裟を着られるのは极一部の高僧である。
実はこの布、お釈迦様が悟りを开いた时天から赐った(入灭した时着せられたと言う说もある)布だと言う。又、奈良県の当麻寺に伝わる当麻曼荼罗は中将姫が一夜にして织り上げた莲布だという伝说がある。他にも莲布の轴物や袈裟など数点が全国の寺々に伝わっている。
何とも不思议な织物だけれども次々と疑问が沸いてきた。
「莲ならば、どんな莲でもできるんですか。その辺のお寺の莲の茎を采ってきて…。」
谁しも思う疑问である。
実は昔日本でもこの莲布が织られたらしい。莲池から集めた莲の茎から糸を作り、前述の仏具を作って神社仏阁に奉纳していた。现在は东京都町田市で薬师池公园の大贺莲を采取して织られているが、主に小物の材料として使われている。日本では人件费が高く手间が挂かりすぎてとても大量には作れない。























