level 7
第三
水岛
第3回目は、この『G-ROOMS』という企画の実现を强く望んでいた福地仁さんですね。フィルムの中ではメカデザインだけではなくて、『ガンダム00』という作品世界の中で重要なミリタリー要素の构筑も担当してもらっています。そんな福地さんが、今回、自身でデザインしたメカを中心に、フィルム用に作り上げた雰囲気をイラストに落とし込んでいるわけですね。イラストの见所としては、メカ自体もフィルム本编の仕様とは异なっているところですかね?
福地
描きたいモノを描くという企画なのでそうさせてもらいました(笑)。今回は、砂漠で活动する反政府势力であるカタロンのメンバーをメインに描かせてもらいました。メインになっているのは、ホビージャパンさんで连载していた『00V』という机体バリエーションを描く企画に登场した陆戦用の〈シェルフラッグ〉。その軽装タイプになっています。
カタロンという组织に所属するメンバーは、ファーストシーズンでは各国正规军に所属していたけど、セカンドシーズンでは、独立治安维持部队のアロウズに反発して装备を持ったまま离脱してきた人も多いだろうという设定があるんです。このフラッグに乗っている人も、そうした流れの人ですね。
水岛
肩にはマーキングが入っていますね?
福地
これは、乳母车から拳铳がでているマークなんです。つまり、乗っているのはオーストラリアの人で、カンガルーのポケットから想像して描いて、意味合いとしては「油断させておいて撃つぞ」という感じで。
水岛
なるほど。もちろん、涂装に関しても意味があるんですよね。
福地
全身はいわゆるカタロンカラーというブルーになっているんですが、左手だけ元素材のカーボンがそのままの色になっています。これにも理由がありまして。この世界では実は涂装にもナノマシンを使っていて、使用状况にあわせてプログラムを変更することである程度色を変えられるんですが、左腕だけプログラムが切れているんですね。そういうところはテレビシリーズでは描けないですからね。
水岛
そうだったのか……知らなかった(笑)。确かに、涂装に関してはそんな话をしていましたよね。
福地
フィルムではガンダム侧が周囲の风景を机体に映す光学迷彩を使っていますが、あれはリアルタイムで映像が映し出されているんですが、そこまでの技术ではなくて、地域に合わせた迷彩パターンを出すくらいしかできない。ただ、イラストで砂漠用の迷彩で描いてしまうとカタロンの机体だと判らなくなるので、イラストではカタロンカラーになっていますが(笑)。
水岛
迷彩はアニメでは难しいですからね。フィルムでは阵営ごとにある程度色分けしないと视聴者に伝わりにくい、そこはフィクションのドラマとしては仕方なくね。他に気になるのは、背景に描かれている他の机体……。
福地
すぐ后ろには、アグリッサが着地していて、コンテナ部分からジープが出ています。もともとアグリッサという机体はホバー输送艇なんです。フィルムには脚がついたタイプが登场していたので、その印象が强いですが、イラストでの使い方が本来の姿なんです。フィルムでは见せられなかった、いろんな使い方があるのを见せておこうと。それから、さらに奥にいるのは対空用のティエレン。タカラマカン砂漠でのシチュエーションで副监督の角田(一树)君は出したがっていたけど、出せなかったから描いておきました(笑)。
水岛
尺的に难しかったけど、一部のファンからは「カタロンの活跃をもっと见たかった」という意见もあったから、こういうシチュエーションはいいですよね。
福地
仆もカタロンの活跃をもっと见たかったので、そういうつもりで描いています(笑)。尺があれば、カタロンが出る回は全部装备を変えたりしたかったんです。模型的な面白さとして、ユニオン、AEU、人革连の3阵営の机体が混成して入っているので、例えばユニオンの机体が人革连の武器を持っている……というようなシチュエーションもあり得たのですけどね。
2011年03月05日 10点03分
6
level 7
水岛
カタロンにはそういう面白さがあって、もっといろいろできたと思うけど、物语上ではあまりスポットをあてられなかったのが心残りですね。
福地
そうした剧中でやれなかった妄想の翼を広げたのが今回のイラストで、3つの阵営の机体を描いた理由もそこにあります。これは妄想上のカタロン视点のOVA……みたいな视点で描いているので(笑)。
水岛
これが模型好きのファンに伝わって、どんどんやってもらえるといいんですよね。
水岛
今回のメインメカはフラッグということで、この机体の诞生の経纬も振り返りたいんだけど、仆からメカデザインを依頼する段阶で「飞行形态へ変形するモビルスーツ」という発想はオーダーに含まれていなかったんですよね?
福地
最初のオーダーの时にはまだ入ってなかったですね。ただ、「アメリカ军寄りのモビルスーツで」という话は最初からあったので、飞行するイメージはその顷からあったのは确かですよね。
水岛
人革连とユニオンを分けるときに、「戦车と飞行机というイメージで分けよう」と言ったのは覚えているんだけど……。
福地
ただ、その时の飞行机という意味は、あくまでイメージ分けというか、役割分担の话ですよね。企画书の段阶では、フラッグは空母の甲板に立っている絵を描いていて。当初は、输送机から空挺降下的に翼を持つモビルスーツが出撃して、そのまま飞行するという方向で考えていたんです。はっきりと変形の话が出たのは、バンダイさんからのちょっとした希望がきっかけでした。
水岛
「バルキリーとは违った変型机构を」って随分と言っていたよね。打ち合わせの中で、「変形」に関しては违和感なく受け止めていたから、どこで决定したのかは现実的には覚えてなかった。とは言っても、剧中ではほとんど飞行形态での空中戦は描けていないんですけど。
福地
フラッグ=飞ぶイメージという形でアピールできたのは、成功でしたよね。确かに空中戦の描写は少ないんだけど、「飞ぶ」という事にちゃんと食いついてくれたお客さんがいましたから。そうしたイメージがきちんと定着したからこそ、今回は逆に陆戦するフラッグを押してみたんです。
水岛
「ユニオンの机体自体が人革连に比べて装甲が薄いけど、その分単机としての性能が高い」というようなイメージの话をしていて、そこから「细身のメカ」というアイデアにつながって、オーダーしたんですよね。だから、仆自身はフラッグという机体の陆戦のイメージというものが、演出プランとして浅いんですけど、「いやいや、フラッグの陆戦も绝対にありますよ」という福地さんの考えが、こういう形のイラストになったのは、世界観を広げるという意味ではいいことだと思いました。
福地
黒田さんが企画书の段阶で「未来の人型兵器だから、全领域でつかうはず」と言っていたので、それぞれ得意として戦う领域はあっても、基本的にはモビルスーツ=マルチロールというのをみせたかったんですよね。
福地
今回の対谈では、印象的なメカシーンを描いた作画侧の人たちのことを言っておきたいなと思っていたんです。作画の人たちが支えてくれたからこそ、作品の中でメカがより印象的に活跃できたというのを、监督と一绪に発言しておくべきだと。
水岛
『ガンダム00』の作画スタッフは、非常にメカが好きで、メカを格好良く演出することに理解があって、こっちが「こう动かすんだ」という提示に対して、可能な限り応えようと顽张ってくれたことが大きいですよね。
我々の现场では、デザインしてもらったメカをアニメーションで动かす际に、アニメーターがアレンジを加えることに対してデザイナーは肯定的でしたから、アニメーターとの连携もよくて、アニメーターの描いたものに対して「さらにこういうアイデアはどうだろう?」ってデザイナーが追加提案するような、キャッチボールがきちんとできていたからいい结果が出たんだと思いますね。デザイナーも最初に仆らが出した要望をなるべく盛り込んでくれたし、こっちも可能な限りデザイナーの意志を真挚に取り込もうと思っていましたし。
2011年03月05日 10点03分
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そういう作业は、楽ではなかったけど、结果的にメカに関してはすごく评価される感じにつながりましたからね。本来、デザイナーを起用する理由は、デザインしてもらうためで、作画用の设定という侧面よりも、メカデザインとして剧中での役割とそれを具现化する形状という「存在としての记号」を発注しているつもりなので。それをアニメーターの力で具现化し、さらに良いものにする。そのコンビネーションはすごく成功していると思いますね。もちろん、ギミックや机构に関しても、剧中で使うからこそ段取りも含めて描いてもらっているわけですから、そこは重要视したいですよ。
福地
结果的に表现としてこぼれてしまうところがあっても、拾う意志が现场にあって、拾ってもらえそうだという大前提が最初からあるからこそ、モチベーションを维持して顽张れるポイントにもなりますから。そうした现场の姿势が、デザインにもいい影响を与えたと思います。
福地
前回、柳瀬君がかつて仆がバンダイさんが出していた『模型情报』という册子で连载していた企画のことを振ってくれましたが、自分的には今回の『G-ROOMS』で「20年ぶりにまたやっています」というところがありますね。
水岛
海老川君、柳瀬君の描いた2回とは异なる、より戦场写真的なシチュエーションにはなっていますよね。
福地
确かに、そういう気持ちもありました。この企画自体、かつて出版された宇宙世纪の戦场写真集である『M.S. ERA』(メディアワークス刊)を意识して、似た形でやっていくというスタンスなんですが、今回はもうちょっと模型ジオラマ寄りにしてみたというのはありますね。
水岛
福地さんから、「こういう企画を考えているけど、なかなか実现できない」という话を闻いた时の印象から想像していたのは、戦场写真的なノリなんだろうと思っていたんです。でも、おそらくは、福地さんが『G-ROOMS』のような企画をやりたいと以前から言っているのを闻いていたから、前の二人は陆戦というシチュエーションは、あえてとっておいたんじゃないですかね。
福地
确かに、前回の柳瀬君の语り口には、「残しておきました」というニュアンスが感じられましたね。それに、二人は思い出深い1体を选んだというところもありますから。
水岛
この企画自体、ユーザーがいろんな想像をする前に、现场の人间がまずやっちゃえというノリでやっていて、楽しむのが大事というところもあるので。
福地
最近のお客さんは、昔のファンよりも本编の公式映像の范囲内だけで游ぶ人が増えてしまったので、もう少し外侧で游んでもいいんだよと念を押したいという思いもありますからね。そのヒントを现场の人间が见せるのも大事じゃないかな。
水岛
それが面白いんだと思いますからね。想像を広げた结果がオフィシャルか否かでファン同士が揉めて欲しくないので、我々から出せるモノがあったら、可能な限り出しておきたいですから。これから剧场版もありますが、『00』の世界はそこで终わるわけではないので。まだまだ、描写していない物语や世界があって、そこに活きている人たちがいるわけですからね。
水岛
次回は鹫尾(直広)君ということなんだけど、何を描くのかな?
福地
やっぱり、鹫尾君が描く、独特のフォルムをより味わえるものを期待したい感じですけどね。
水岛
确かに、鹫尾君には独特のラインを期待してデザインを描いてもらっているので、それがどんなシチュエーションに落とし込まれるのかは楽しみですよね。ただ、キャラクターにはあんまり入れ込まずに、硬派にモビルスーツ押しを希望です(笑)。
文/石井 诚・写真/ドクトルF
2011年03月05日 10点03分
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level 7
第四
水岛
鹫尾君はメカもかわいい女の子も両方描けるんだけど、今回は企画の趣旨から外れるから、キャラは禁止にさせてもらいました(笑)。さて、イラストを描き惯れているだけあって、构図や空気感がいいよね。これは、どんなシチュエーションを描いているの?
鹫尾
テスト中のリィアンです。リィアンは早い段阶から出てきているので、セカンドシーズン以前に试験运用されていたというイメージです。
水岛
ただでさえ大きいモビルスーツを収纳するから、难しい部分もあったよね。
鹫尾
そうですね。ドライが入っていることを、わからないようにすることが前提でしたから。登场后は、カメムシなんて言われていましたね(笑)。
水岛
もともと飞行型で、カメムシとかタガメといった昆虫的な形状というイメージだったよね。あんまり格好良くても困る机体だったから。
鹫尾
翼のある案もあったんですけど、最终的にこの形になりました。とはいえ、「どうやってドライを入れようかな」という部分は悩みましたね。
水岛
一度、リィアンで何かを运んだよね?
鹫尾
トラックで荷物を运んでいましたね(セカンドシーズン第6话)。
水岛
そうそう。コンテの段阶では、荷物を运ぶ电动台车のつもりで描いていたんだけど、なぜかトラックになっていたり(笑)。対比がおかしかったので、结局描き直したんだよね。
鹫尾
デザインをリフティングボディにしたこともあって、形的にも描き辛かったのかもしれません。
水岛
でも作画上で、そんなに苦労したという话は闻かなかったかな。ただ単独でスーッと飞んでいることが多かったから、レイアウトは难しかったかもしれない。
鹫尾
他のメカと络んでいないので、サイズが分かりにくかったかもしれませんね。
水岛
一方のドライなんだけど、アルケーガンダムという选択肢はなかったの?
鹫尾
アルケーは今后、MSVなどに登场する可能性はあると思うんですが、ドライは、もうあまり描く机会がないと思ったんです。
水岛
セカンドシーズンまでデザインが、変更されずに生き残った机体という意味では、稀有な存在だよ。でも、もうネーナもいないしね。
鹫尾
そうなんです。海老川さんがレグナントを描かれたのも、ドライを选んだ理由ですね。ルイスの憎しみの対象を描いてみようかなと。
水岛
こうしてみると、スローネはやっぱり“鹫尾メカ”ってデザインだよね。
鹫尾
イラストはちょっと夸张して、肩のフレームなどを长くしていますね。本来、スローネはこんなに长くないんです。ちょうどアルケーと同じぐらいですね。
水岛
スローネチーム(トリニティ)は、トレミーチームの知らないもうひとつのガンダムということで、そこに鹫尾君独自のラインがうまく合った印象だよね。そもそもソレスタルビーイングは、大义名分を抱えているけど、やっている行为自体はテロリストも同然。そこがちゃんと描かれないと、ただかっこいいだけの人になってしまう。そこをはっきりさせるために、もっと强烈な実行部队がいたほうがいいということで、黒田(洋介)君がスローネチームを考えたんだよね。たしかデザイン面では细かい修正程度で、大きな変更はなかったと思ったけど。
鹫尾
ファーストシーズンの前に提出したコンペの流れのままですね。最初にツヴァイが决まって、そこからアインとドライを派生させていったんです。トレミーチームのガンダムは、大きい背负いモノ(バックパック)をつけないシンプルなデザインでしたけど、スローネは异なる系统なので、逆にバックパックをつけようという方向性でした。
2011年03月05日 10点03分
9
level 7
水岛
武器は黒田君からのリクエストだよね。これは他のメカでもそうだけど、脚本に変な缚りを与えないために、まず黒田君のアイデアを闻いて、设定に取り込んでもらうという流れだった。実际に黒田君からは、どんなリクエストがあったの?
鹫尾
「并んだときに左右対称にしてほしい」という话でしたけど、いつの间にか无くなりました。
水岛
それは合体ネタを想定したリクエストだね。ツヴァイがセンターで、左右で3体合体するものを考えていたんだ。そこに鹫尾君のデザインが上がってきたんだけど、デザインを见た时に「合体はないな」って思った(笑)。结局、武器をみんなで使う方法で三位一体感を出す方向にしたんだ。
鹫尾
3机の中で、黒田さん的にはツヴァイが使いやすかったように见えますね。
水岛
それはツヴァイが剣を使うからかな。戦いの中でのセリフの応酬は、剣を交えるとやりやすい。黒田君の脚本の面白さの一端は会话剧にあるから、ツヴァイはちょっと恵まれていたかもしれないね(笑)。
鹫尾
确かに、リアルさだけを追求したら、前に出てこなくてもいいこともありますね。
水岛
たとえばドライだったら、后方で作戦を见ながら状况を把握して、自分の出番に活跃するというタクティカルな活跃をしたと思うな。初登场时(ファーストシーズン第16话)は、GN粒子を大量散布して后方支援メカらしさを出せた。でもストーリーを进行させるためには、どうしても刹那たちの近くに置かないといけない。この机能を彻底的に活かせるストーリーを作れなかったのは、残念といえば残念。
鹫尾
画面には见えていないけど、后方でいろいろとやっていると、想像して欲しいですよね(笑)。
水岛
そうやって想像して楽しめるのも、ガンダムのいいところだよね。
水岛
鹫尾君の『宇宙のステルヴィア』から始まるメカというのは、スレンダーでありながら、各パーツが强调されていて、三面図でみると工业メカっぽいイメージが强いんだよね。でもイラストにすると、またイメージが変化する。そういう意味では、ガンダムと鹫尾君の组み合わせは面白かった。ガンダムにあってガンダムにあらずというところが、成功している部分だと思うな。
鹫尾
逆にガンダムという制约があるので、そんなにブレないで进められました。スローネのときは「ガンダムじゃない」って言われましたけど、アルケーでは、まったく言われなくなりましたから。ただ仆の中では、スローネの段阶から『ガンダムセンチネル』に近い形をイメージしていたんです。『センチネル』は、『机动戦士Zガンダム』や『机动戦士ガンダムZZ』の时代のミリタリーを强くしたという印象で、好きな作品だったんです。
水岛
どちらかというと、SF的なものが好きなのかと思っていたんだけど。
鹫尾
个性のあるSF的なデザインが好き、というわけじゃなかったんですよ。もともとミリタリー的なデザインが好きだったんですけど、『ステルヴィア』で佐藤(竜雄)监督にそのような方向性にされてしまったといいますか……(笑)。
水岛
(笑)。鹫尾君とはその『ステルヴィア』以来になるけど、『00』に参加してみてどうだった?
鹫尾
水岛监督は当初から「売れるコンテンツを作る」ということを强调されていて、とても共感できました。他作品を见ると「もっとこうしたらいいのにな」と思う部分もあるんですけど、水岛监督はまったく妥协せずに目标を目指しているという感じでした。
水岛
あ、ありがとうございます。実现できたかどうかはわからないけど、视聴者が喜んでくれるものを作りたいよね。最终的に自分たちの作ったものが、フィルムから离れて、世の中に広がっていくといいなって。商品化も含めて、最近はそういう部分を意识して作品作りをしているかなぁ。ガンダムは看板が大きい分、いろんなことが达成できたと思うんだよね。
鹫尾
ガンダムは、立体物を作って贳えるのがいいですよね。そこからファンになってくれる人も多い作品ですし。
水岛
メカや模型展开は成功した部分だよね。ガンダムは过去に何人もデザイナーが変わってモビルスーツも変わってきたんだけど、そこをもっと系统立ててやりたいと思ったのが、デザイナーの复数体制。各デザイナーに设计担当になって、开発段阶から考えてもらいたかった。各デザイナーのモビルスーツが、ガンダムらしいミリタリーっぽさを根底に持っていて、そこからいわば裏ガンダムといえるスローネチームが出たのは、鹫尾君のラインであることが大きかったと思う。スローネチームが出たあたりからファーストシーズンも盛り上がったし、そういう意味では美味しい役だったね。
鹫尾
ドライのGN粒子散布シーンは惊きましたけど(笑)、嬉しかったですね。
水岛
次回は寺冈さんか。彼はある意味『00』のSF世界を担っている人なので、何を描いてくるのか楽しみだなぁ。
鹫尾
寺冈さんはミリタリー的イメージがありますけど、SFっぽいラインも描かれるんですよね。
水岛
寺冈さんとは『00』を始める时にメカ描写の话をして、都市制圧の仕方とかをレクチャーされていたんだけど、全然取り込めなかったんだよね。多分、作品中に描写できなかった、そういうシーンを描いてくれているんじゃないかな? かなり浓いものが上がってくるよ(笑)。
2011年03月05日 10点03分
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level 7
第五
水岛第5回は、『机动戦士ガンダム00』の骨组みになるデザインや设定をたくさん作ってくれた寺冈さん。で、今回はティエレンじゃないんだ?
寺冈うん、描かないよ。ひたすら地味路线。
水岛小型モビルアーマー(MAJ-V34ジャーチョー)っていうチョイスが寺さんらしい(笑)。これは都市戦を描いているのかな。
寺冈小型モビルアーマーでの都市戦を想定した训练シーンだね。モビルアーマー乗りになるために、狭い路地や阶段があるところを走り抜ける训练を积んでいく。训练机だから、本当は目印になる赤い旗や青い旗を立ててないといけないんだけど、そのたありは电子的に処理しているのかもしれない。
水岛パイロットが倒れているけど、被弾はしてないね?
寺冈阶段から転げ落ちて、パイロットが気绝してしまった……っていうシチュエーションだから(笑)。
水岛(笑)。间抜けなシーンなんだ? スリップの迹もあるから、无茶な运転したんだね。
寺冈「なにやってんだ。これだから若いのは……」って、年配の医疗班が駆けつけてきて、コックピットから引きずり出されていると。
水岛こういう小型モビルアーマーも、どんな编成で动くとかちゃんと考えていたよね。
寺冈人革连の运用では、モビルスーツ1机につき、小型モビルアーマーが必ず2机~3机随伴して足元を露払いする……っていう编成だね。小型モビルアーマーも有人机1机に対して、无人机が2机っていう组み合わせ。小型モビルアーマーの役割は、対モビルスーツ用にワイヤーが张ってあったり、落とし穴があったりするはずだから、そういう障害を防ぐこと。他にもモビルスーツの火力は人间には向かないので、対人も任せられていたと思うし。モビルスーツと歩兵の间を、つなぐ形で小型モビルアーマーは発展していったんだろうね。
水岛登场したのはファーストシーズンの第3话か。结构初期はこういう小型メカも出していたんだよね。
寺冈地上戦がなくなったから、出番がないんだよね。
水岛まぁそういうミリタリーっぽさを、序盘で少しでも出せたのはよかったかな。お话は、だんだんミリタリーに适さない状况になっちゃったから(笑)。
寺冈そうそう。ほんの少しでも、世界観の厚みになったからよかった。歩兵まで目线が降りれば出番もあったんだろうけど、ガンダムは歩兵の话にならないからね。でも、ガンダムとアヘッドが空中戦をやっているときに、足元ではこいつらがウロウロしていたと想像してもらえれば。交通规制とかで、戦时では**の手の及ばない部分も军队がフォローするからね。
水岛きっと作业用にも向くよね。そういえばファーストシーズンの第3话で工兵车両って発注したら、工兵用の小型モビルアーマーを描いてきたでしょ?
寺冈モビルアーマーでいいじゃん、って思ったから(笑)。现用戦车と基本的に考え方は同じ。ローラーをつけたり、シャベルをつけたりして、いろいろな用途に転用されていると。モビルスーツが入る堑壕を掘るのも、工兵用モビルアーマーの役割だね。
水岛タクラマカン(ファーストシーズン第16话)で、それっぽいことやっていたよね。
寺冈タクラマカンには高射炮部队がいたんだけど、その前に工兵用モビルアーマーが地ならししたり、9mぐらいのモビルスーツ用堑壕とか掘っていたりしたはず。
水岛カモフラージュとか、もうちょっといろいろやりたかったよね。
寺冈人革连では、小型モビルアーマー乗りってパイロットのスタート地点なんだよね。この気绝しているパイロットはまだ新人なんだけど、このあと何十时间も训练を受けて、立派なモビルアーマー乗りになるんだよね。さらに将来的には、モビルスーツ乗りになる选択肢もある。基本的にヘルメットや服の装备はモビルスーツと共通だし、操縦系统も近いから、乗り换えにはあまり时间がかからない。现在の兵器のように戦车や飞行机に区分されているわけじゃなく、モビルアーマー乗りは、地上、宇宙、水中と、いろんな状况に対応できる。
2011年03月05日 10点03分
11
level 7
水岛インターフェース系を统一させて、短时间の训练で乗り换えができるんだね。
寺冈で、モビルスーツ乗りになると、「あ、ちょっとコクピット広い……」って感动するんだよ。
水岛さすが人革连のメカ。乗る人のことが考えられてない(笑)。
寺冈乗りこむシーンも地味だよ。このモビルアーマーなんて、ほふく前进の逆バージョンで、足からわっしわっしと入っていく。
水岛モビルスーツが広いっていっても、ティエレンは立ち乗りでしょ。
寺冈18mサイズだと、あれぐらいじゃないと机械が入りきらないんだよね。コックピットを作るスペースがない。それにひとりで操縦するわけだから、手に届く范囲にすべての机械がないといけないからね。
水岛そういえば、ティエレンは乗りこむシーンが絵にならないから、実は作ってないんだよね(笑)。
寺冈ティエレンの场合、ガンダム系と违って运动神経がないと乗りこめないぐらい乗り込みにくいからね。特に出るときが大変。ティエレンは中で気绝したら、クレーンで引っ张り上げないと救出できない。きっとそういう脱出用クレーンとかの装备は充実していたんだと思うよ。
水岛寺さんには美术设定も大量に描いてもらって、作品成功の一端を担ってもらったんだけど、デザイン面がものすごくスピードアップしたのも间违いなく寺さんのおかげなんだよね。
寺冈柳瀬くんと2人で竞争したもんなぁ。微妙に负けている気がするからくやしいんだけど(笑)。
水岛まぁ作品のカラーになる部分は、寺さんが主に手挂けているよね。とにかくガンガン上げるから周りも引っ张られて、みんな描くのが速い速い(笑)。
寺冈「早く上げないと(代わりに)やっちゃうよ~」って言っていたからね(笑)。
水岛セカンドシーズンのときは、コンテを描く前に设定が全部上がっていたもんね。一番先辈のデザイナーが会议を仕切ってどんどん进めちゃうから、若者たちはついていくしかない(笑)。
寺冈仕切りは监督がやろうよ(笑)。
水岛ほかの打ち合せはやってるよ! それにあなたは俺の言うこと闻かないでしょ!
寺冈はい、好きにやらせてもらいました……。
水岛言ったのと全然违うのを平気で上げてくるからなぁ(笑)。まぁ寺さんとは付き合いが长いしね。
寺冈普通にやってたら、つまらないからね(笑)。
水岛ほかにも寺さんには、设定面でもいろいろ见てもらったよね。たとえばセカンドシーズンの第1话とか、シナリオからコンテになる段阶で见てもらって、いろいろな设定を加えたり。初期はそういった设定面のリアルさを、どう消化しようかって迷っていたなぁ。
寺冈アクションなどのケレン味と、ミリタリズムや生活感といった现実とのバランス。それをどこに落とし込むかが非常に难しかった。仆なんかはどうしてもリアルに、ミリタリズムに、という方向に考えてしまう。そうすると、アクション的につまらなくなっちゃうんだよね。どのぐらいアクションを面白くして、SF设定を活かすかっていうのは、本当に难しい。逆にセカンドシーズンは振りきれていて、よかったんじゃないかな?
水岛ファーストシーズンの途中から、设定にこだわりすぎると画面が地味になるってわかったからね。でも无重力の表现とか、効果のあることはたくさんあったよね。
寺冈まぁ演出家は、わかっていて设定は无视する。それでいいと思うんですよ。わかっていないのに无视するのが非常に怖いだけで。
水岛コロッと忘れて通すこともあるしね。
寺冈そうそう。「あ! 忘れちゃった」って思っても、最终的に意识してどこかで取り込んでくれればいいの。基本的には、もっと演技の部分を考えていればいいんです。宇宙もののリアルな作品を作る……っていうなら话は别だけど、あくまでガンダムであることが前提だからね。
2011年03月05日 10点03分
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level 7
水岛自分が思っているハードさって、ファーストシーズン第1话のアバンなんですよ。あのクオリティでそのままテレビシリーズはできないから、最初はキッチリやろうと思って。
寺冈あれはOVAのクオリティだよね。
水岛千叶(道徳)さんもすごかったし、他にも演出が北村(真咲)さんで、ものすごくミリタリー色が强いものが作れるチームだった。自分の描いたコンテどおりに映像ができることってあんまりないんだけど、あの临场感はイメージどおりだったなぁ。あのシーンは、アンフもかっこよかったよね。
寺冈アンフはだらだら歩いてこそ花ですよ。走ったらダメ。
水岛そういえば、モビルスーツは走れないって、最初に决めてたもんね。
寺冈ティエレンぐらいになると走れるけど、でもジャンプはできない。だって120tを超える机体がジャンプしたら脚が壊れてしまう。
水岛もう1回、あの重いティエレンを飞ばしたいなぁ。
寺冈あれは120tもあるから、本当は飞ばないんだよ。それにティエレンは戦车だから、羽根を付けると违和感があって……。
水岛まぁどういうメディアで展开するのかわからないけど、そういう细かいメカ的な部分や、ミリタリーに寄った内容で『00』の物语をやるのもアリだよね。刹那たちが出ない世界でまったく问题ないだろうし。そういうスピンオフで作品が长生きするのは作り手としてありがたいし、自分が监督じゃなくてもいいと思う。
寺冈あとはどこかのタイミングで、小型モビルアーマーを1/48ぐらいでキット化してほしいな(笑)。ジオラマを作るととても面白そう。実は1/100スケールのガレキを作っている人がいて、この间入手したんだよ。
水岛ガンダムシリーズだから、ジオラマを経て商品化っていうのは普通にありそうだよね。
寺冈フルスクラッチで作ってくれるツワモノを募集したい(笑)。
水岛さて、次回はなんとアニメーター西井正典さん。本编の中で、多くのメカシーンを手がけてくれた重要なスタッフなので、どんなものが上がってくるのか楽しみだね。西井さんもティエレンが好きらしいよ。……どうせ寺さんは、次もモビルスーツ描かないんでしょ?
寺冈うん。もう次回分のラフも描いちゃったし。
水岛そんなに速いなら、「G-ROOMS月刊寺冈」でいこうよ。
寺冈それは无理(笑)。
水岛じゃあ次は绝対、ティエレン描いてよね(笑)。
2011年03月05日 10点03分
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level 7
第六
水岛
この企画もメインデザイナーが一巡して、いよいよアニメーター西井正典さんの登场です。描いてみていかがでしたか?
西井
そうですね。まず何をどう描くか? ということで悩みました。
デザイナーさんは企画の成り立ちからデザインに携われているわけですけど、作画の现场の立场からするとアレンジを胜手にやるわけにはいかない难しさもあります。
水岛
西井さんは元のデザインを尊重されますよね。デザイナーにとっても、凄く嬉しいことだと思います。
西井
そこで、ものすごく王道なんですけどOガンダムを选びました。
水岛
こういった王道なチョイスは、実はデザイナー阵だとなかなか出てこないんですよ。この企画に、アニメーター阵にも参加してもらいたかったのは、ギミックやデザインだけではない视点から世界を描いていただきたいという意図があるんです。そもそも企画の趣旨は、『机动戦士ガンダム00』の世界の一瞬を切り取ること。1つのシーンでドラマを语ろうという趣旨なので、シチュエーションを描くという点においては、デザイナーよりアニメーターのほうが惯れているんですよね。
さて、今回のイラストはOガンダムとアンフということで、ファーストシーズンの第1话を想像させますね。
西井
ええ、同じテスト段阶ではあるんですが、実は第1话とは异なるシチュエーションです。第1话以外にも、戦闘试験が行われていたというシーンです。刹那を救ったとき、Oガンダムはビームガンを使っていましたが、あの时代でGNドライヴを积んだモビルスーツならば、ビームサーベルのみでも十分戦えるはずですよね。ビームサーベルの性能実験として、武力介入を别に行ったというシチュエーションです。
水岛
外伝では、何度もテストを重ねているという话だし、可能性としてイメージが膨らみます。夜っていう状况もドラマチックですよね。
西井
ガンダムという作品は、真昼の戦闘が多いんですけど、夕景とか夜は絵的に映えるんですよね。透过光があったり、爆発が起こったりとか、画面が暗いほうが见栄えがいいんです。
水岛
巨大なものは、必然的に下からライトを当てることになるんで、巨大感が一层引き立つんですよね。モビルスーツの袭撃があれば投光机で光を当てるだろうということも想像できますし。そういう意味では、ナイトシーンは絵として映えるし、面白いですよね。
西井
巨大なものが夜に出现するっていうシチュエーションは、不気味で存在感があっていいですよね。それに加えて、今回、ナイトシーンを选んだ理由にはGNドライヴもあります。『00』世界のガンダムは光りモノがたくさんあるので、あえて暗いシチュエーションのほうが合う场合もあると思うんです。
水岛
その雰囲気は出ていますよね。またビームサーベルがこれほどディテールが浓く见えるっていうのは素晴らしいです。动いている本编中だと、なかなかこういうシーンは见せにくいんですよ。特に『00』はストップモーションをあまり使っていないので、すごく新鲜に映ります。
西井
自分の中で思うガンダム像みたいな部分を、ちょっと絵にリスペクトさせている部分もありますね。大河原邦男さんがデザインしたという意味も含め、Oガンダムは象徴的な存在だと思っていますので。
水岛
そこはOガンダムを発注したときに抱いていた仆の気持ちと近いですね。せっかくガンダムに携われるんですから、リスペクトとしてRX-78ガンダムのような机体を作品に出したかった。しかもそれを作品世界で最初のガンダムと名のつくモビルスーツにしたかったので、そうお愿いしたんですよね。もともとGNドライヴのコーン等の记号部分は别の形状で、あとで変更していただいたのですが、まったく违和感がなく仕上がっているのはさすがだなと思いました。
2011年03月05日 10点03分
14
level 7
水岛
西井さんのお名前を意识したのは、剧场版『サイレントメビウス』(91年)の顷なんです。今回はメカ作画监督として入っていただいたんですけど、もちろんキャラクターも描かれる。仆らぐらいの年齢の业界の人间からすると、「すごい人が入ってくれた!」って惊きますよ。
西井
いえいえ、年の功なだけですよ(笑)。
水岛
大贯健一さんとふたりで、スタジオの空気を変える存在でした。ベテランのすごさを见せてくれたというか。千叶(道徳)君をはじめ、みんな「西井さん、すごい」って感じていたんですよ。今回もかなりの话数をお愿いしていますよね。
西井
全话数の1/5ぐらいじゃないですかね。
水岛
では、ほとんどのモビルスーツは描かれているんじゃないですか?
西井
いえ、Oガンダムもそうですが、ナドレも描いていないですね。逆にセラフィムは3回出ているんですが、全部私が担当した回です(笑)。
水岛
セラフィムは変形シーンもすごくよかったですよね。
西井
あれは原画を担当していただいた塩川贵史さんのお力ですね。
水岛
たしかファーストシーズンの第3话もご担当されていますよね。あのティエレン飞行型の超デザインが登场したエピソード(笑)。
西井
あれはすごかったですね(笑)。
水岛
寺さん(寺冈贤司氏)は、あのあと、タクラマカンでも(ファーストシーズン第15话)にも飞行型を使うって言っていたら、「あれはアニメーターさんが大変だ」って、頼んでないのに高机动型のB型を描いてきたんですよ(笑)。仆がコンテで描いた飞行型の旋回シーンを见て、よほど危険と思ったらしくて……。第3话は、ちょうど第1话、第2话でミリタリー色を押し出していたところから、ちょっと加速させた话ですよね。『ガンダム』は、どこまでやっていいのか、仆も迷いのある段阶でコンテを描いていて、ちょっと模索し始めたエピソードでした。
西井
どの作品もそうですけど、最初の1本、2本は作品に惯れがないから难しいんですよね。実际のところ、作品の世界観を含めて、表现の仕方がのみ込めて、実际に画面に反映され始めたのは、3本目であるファーストシーズンの第13话からでしょうか。
水岛
たしかにファーストシーズンの第13话あたりから、仆もいろんな意味で吹っ切れてきたころですね。ちょうど第12话、第13话で、助监督に角田(一树)くん、长崎(健司)くんが合流してくれて、意思疎通の早いスタッフが中心に来てくれたことで、その后のブレがなくなっていった。たしか第13话は长崎くんと初めて组んでもらった回ですよね。すごく彼のことを买ってくれて、もうずっと同じチームでやってもらおうってことになったんですよ(笑)。
西井
长崎さんのコンテは、芝居の意図しているところがわかりやすいので、よく伝わってくるんですよね。
水岛
キャラクター化されているというか、なぜこういう动きがほしいのかが明确なんですよね。
西井
あとは、ファーストシーズンでいえば、第23话が思い出深いですね。ファーストシーズン最后の担当话数でしたし、メカの物量が群を抜いて多かった。たぶん、担当话数でどれが一番大変か? っていわれたら、绝対23话です(笑)。
水岛
あのエピソードは、作っている最中でもクオリティの高さが感じられたので、第24话、第25话は相当なプレッシャーだったんですよね。
西井
ロックオン(ニール)の最后の登场回ですから、お话がよかったことも含めてそう感じますよね。
水岛
シナリオもこだわって、セリフも相当吟味しましたからね。そういう意味ではチームワークの胜利じゃないですかね。みんながいい仕事をしたという。『00』はそういうことが多かったんですよ。西井さんをはじめ、大贯さんやベテランのスタンスが若いスタッフにとても大きな影响を与えている。スタッフの士気が上がったのは间违いないですね。
2011年03月05日 10点03分
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level 7
水岛
西井さんは以前にも『ガンダム』に参加されていますよね。やはり他の作品と违うものを感じられますか?
西井
いろんな意味で注目される作品ですよね。それだけに覚悟は必要でした。确実に见てもらえる作品ではあるんですが、いいことだけじゃなく、悪いことも反応がダイレクトに返ってくるんで、がんばらないとまずいなって思いました。特にガンダムはいろいろな作品があって、作品ごとにカラーが违います。今回の作品はどういう世界で、どんな表现を求められているのか。うまく理解して表现すること、そこが一番気をつかいます。
水岛
最近参加されたガンダム作品だと、『机动戦士ガンダムSEED』になりますか?
西井
『机动戦士ガンダムSEED DESTINY』ですね。『00』に関しては、まず『SEED』シリーズとは何が违うのか。そこをつかむのが大変でしたね。
水岛
デザイン的にも『00』メカはまたちょっと変わっていますからね。
西井
そうですね。たとえばスローネとか、フラッグとか、プロポーションが人型をちょっと逸脱しているバランスのメカもいますからね。それに人型のアクションをさせると、どういうふうに动かせばうまくいくのか。そこは试行错误がありました。
水岛
コンテを描いていても、スローネはこんな感じかな? って、ついアバウトになってしまうところもありましたね。
演出家は、よほどメカの细かい部分が饮み込めている人じゃない限りは、どうしても自分の根本にあるものがベースになります。多くは人の演技をベースにしたり。それをメカに详しいアニメーターの方に絵にしていただく际に、その龃龉は当然出てしまいますよね。たとえばティエレンも难敌だったように感じますが。
西井
先ほどお话に出た飞行型とはちょっと违う难しさなんですけど、ティエレンは歩くじゃないですか?あの形を维持したまま、ゆっくりと动く。重量感を见せるのは地味に难しいんです。ただ、存在感は相当なものです。ガンダムの相手役としては、安心できるフォルムですよね。
水岛
まぁティエレンは剧场版にも、ちょこっと出ているんで(笑)。ファーストシーズンの最初は、明确にモビルスーツの性能差を见せるために、ティエレンは相当ゆっくり见せていましたもんね。イナクトやフラッグよりもエクシアのほうが速かったですから。ジンクスが出て戦局が一変する……っていう状况を作りたかったんで、后半のほうはハイスピードバトルになっている。そういう意味では、后半のほうがやりやすくなっていますよね。他には苦労したところってありますか?
西井
メカの物量が圧倒的に多いことでしょうか(笑)。制作スケジュールに合わせて、その物量をどうこなすか。それが一番难题だったと思います。
水岛
本当にありがとうございました。『00』の场合、プラモデルとの密な连动を実践するために、メカは毎回きっちり出すというコンセプトだったんですが、全体的に暴走気味でした……(笑)。ただ模型は相当评判もよかったみたいで、作画でしっかりといい部分を见せられていた効果が出ているなと感じますね。
西井
そういっていただけるとありがたいです。
水岛
ガンダムはブランドですからね。まず商品との连动をしっかりとやるべきだろうというのは、最初からありました。そもそもガンダム以外のメカ作品は玩具メーカーがスポンサーにつかない场合が多いんですよね。そこをもっと获得するためには、フラッグシップのガンダムがきっちりとやろうと仆からもアピールしたぐらい。バンダイのホビー事业部のスタッフにも早めに参加してもらって、本编でとれるポーズをプラモデルで全部再现する方向で进めていましたからね。そこへメカに爱着を持っているアニメーター阵ががんばってくれたおかげで、ファンも盛り上がって良い结果が出て、剧场版にも辿りつけた。西井さんは、その一端を确実担っている方なんです。
水岛
次回は西井さんと共に作品をけん引してくれたアニメーター、中谷诚一さんですね。
西井
本当は先に出ていただきたかった(笑)。やはり中谷さんはメインで携われている方ですから、中谷さんが手がけた话数には刺激されます。どうしても自分の味が出てしまうのは仕方ないんですが、メインでやっている方の表现に、もっとうまく合わせたいって常々思いますね。
水岛
いやいや、完璧だったじゃないですか。中谷さんは最初、『コードギアス』にも携われていたので、かなり大変な状况でした。そういう意味では、だれが作画を引っ张っていってもいいっていうボーダーレスな部分はあったと思いますよ。その状况によって、若手とベテランがうまく化学反応を起こして、みんなががんばってくれた。これは『00』にとってもとても幸せなことだと思いますよ。
2011年03月05日 10点03分
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level 7
第七
水岛
前回の西井さんに続いて、アニメーターの中谷さんにお愿いしました。
アニメーターの方に参加してもらった理由は、本编に存在したシーンや跃动感のあるシチュエーションを描いてもらうならば、アニメーターの方が得意だと思っていたのと、その场にいる人が见た视点(シチュエーション)を指定した场合どのようなものが上がってくるのか见てみたいというのがあったんです。そういう意味では、第1话のエクシアとイナクトを选んでいただいたのは、すごく嬉しいですね。
中谷
本当はやられているイナクトを描こうかなと思っていたんですけど(笑)。
メカ的には、イナクトやフラッグとかが好きなんですよね。今回は腕だけになってしまいましたが(笑)。
水岛
确かに、中谷さんが版権イラストでイナクトやフラッグは描かれていないので、そっちも见てみたいですけど。ここでイナクトになってしまうと、主役级のメカがいつ来るのか判らなくなってしまう(笑)。
今回选んでもらったシーンは、第1话のハイライトシーンでもあるし、作业的にもこだわりを持って作画监督をしていただいたところなので、仆自身も印象深いです。特に、GNドライヴのディテールに関してのやりとりなんかは、その后の作品作りに影响しましたからね。
中谷
作画しながら、こちらから提案したものですよね。
水岛
そうなんですよ。中谷さんが画面密度として足りないんじゃないかって提案してくださったのを、デザイナーの海老川君に见せたら「これ、カッコイイので、このまま行ってください」ということになって。
忙しい中でも、作品の方向性を考えていろいろな见せ方を提案してくださったし、こちら侧の「こんな风に描いて欲しい」という要望にも応えていただいて、しっかりとコミュニケーションがとれて作业できているなと実感したシーンなんですよね。だから、ここを选んで贳えたのは嬉しいんです。
中谷
そう言ってもらえるとこちらも嬉しいです。
水岛
中谷さんは、なぜ第1话のこのシーンを描こうと思ったんですか?
中谷
最初に今回のお话をいただいた段阶で、海老川さんも柳瀬さんもガンダムを描いてなかったので、漠然とエクシアかダブルオーを描こうかと思っていまして。その中でも、やっぱり第1话のこのシチュエーションが仆も力が入ったし、印象に残っているので选びました。
构図的には、観覧席の最前列の下段から见上げている感じです。『ガンダム00』の世界を象徴する轨道エレベーターをバックに、エクシアのアクションを描こうと思っていたので、実は剧中とはポーズが逆なんですが、あえて见栄えを优先して描いています。イナクトの腕だけが飞んでいるのは、构図的に、このあたりに何か破片があるといいかなと思っただけなんですよね。
水岛
でも、そのおかげで第1话だということも判りますからね。さらに、今回はご自分で色も涂られているんですよね。
中谷
そうです。普段の作画作业では涂りはやらないですから。
でも、涂りはこだわり始めたらキリがないんですよね。今回の原画はA4サイズで描いているんですが、色涂り用のソフト上ではいくらでも拡大ができるから「ここにこういうディテールを追加しようか」ってことにもなるので、デジタル作业になってから、さらにキリが无くなりました。
水岛
终わらないんですよね。ゴールが无くなってしまうので、やっぱり缔め切りって大事だと思います。缔め切りがあるから、ゴールをどこにするかきめられますからね。
中谷诚一(なかたに・せいいち)
アニメーター、メカニックデザイナー。大阪在住。『勇者シリーズ』をはじめ、数々の作品でメカ作画监督を担当。サンライズ作品では剧场版『机动戦士Zガンダム』(作画监督、作画监督补佐)、『コードギアス 反逆のルルーシュ』(メインアニメーター)などに参加している。『机动戦士ガンダム00』では、アニメーションメカニックデザイン、メカニック作画监督を务めている。
2011年03月05日 10点03分
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ガンダムエクシア
ソレスタルビーイングが开発した近接戦闘型のガンダム。「セブンソード」の开発コードを持ち、その名の通り7种类の剣型の武装を装备している。実体剣を装备することによって、GNフィールドを展开可能な机体が相手になった场合でも、接近攻撃が可能な机体である。アルヴァアロンとの戦闘で中破するが、半壊状态で独自に行动。その后改修され、
ガンダムエクシア リペアⅡとして、イノベイドとの最终决戦にも出撃している。
■设定画 ガンダムエクシア
水岛
第1话のエクシアの动きに関しては、中谷さんのおかげでイメージがはっきりした部分が多いんですよ。
第1话のアクションシーンは、大冢(健)君が担当していて、アクションに関しては描く段阶でイメージを伝えてあったので、コンテである程度出来上がっていたんです。それを仆がチェックするときに、コンテの中では表现できない动き……たとえば「GNドライヴは反重力エンジンと同じで、MSはちょっと浮きながら动いている」とか「ちょっと滑るように移动する」というような动きの意図を捕捉的に书いたものがあって、そこを中谷さんに拾ってもらったという感じですかね。
完成した第1话の映像を観ていただくとわかるんですが、エクシア初登场の着地するシーンは、空中を滑るようないい动きで描いてもらっていて素晴らしかったんです。でもカットが短くてジャンプショット的なつなぎになっているのが今更ながら勿体なくて。あの时はどんなクオリティになるのか判っていなかったからあのテンポでカットしてしまったのですが、「中谷さんだったら、もっと尺があってもきちんと描いてくれただろうな」と、エクシアの动きをもっとじっくり描いてもらえばよかったと后悔しているんですよね(笑)。
映像では、エクシアが実际に设定している重量よりも軽く见える感じ……特に、GNドライヴの特性を活かしたフワっとした动きはすばらしかったです。戦闘シーンのアクションだけでなく、そうした移动や振り向きという动作で、GNドライヴの动きの特性を出す画を上げていただけたのは助かりました。こちらからの、「こういうメカで、こういうことをやりたい」と言っていた要望に真挚に応えてもらった结果が、あのシーンに出ていたんだなと思いますね。
中谷
それもあったかもしれませんが、海老川さんが描いたエクシアのもともとのデザインを见て思い浮かんだのが、1话での动きだったんですよね。
水岛
GNドライヴのデザイン的な部分が与える印象は大きかったかもしれないですね。だから、演出的に违う见せ方には进まなかった。
中谷
ただ、动きの面でそういう大きな特徴を出せたのはエクシアだけでしたから。デュナメスは长距离射撃型ということで、宇宙世纪に登场するガンダムの顷からたくさん存在するタイプなので特に新しいわけではないですし、キュリオスは直线的に高速で飞行する、そしてバーチェは大炮を持っている……とビジュアル的にはステレオタイプな描き方でしたから。この3机に関しては、逆に违う见せ方をしようと思うと大変だったかもしれないです。だから、エクシア以外の3机のガンダムに関しては、映像的な见せ方は割り切っていたところはありますね。
水岛
企画の段阶から、エクシアに関してはある程度ルックスから机能まで新しいモノをという感じでしたが、残りの3机に関しては全部が揃って新しい方向に向いてしまうことに抵抗感があったのは事実なので、まさにその通りですね。
中谷
3机のガンダムは判りやすくいったことが良かったんじゃないですかね。
水岛
保険ではありましたが、结果、よりキャラクター性がはっきりした気がしましたし。
2011年03月05日 10点03分
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中谷
结局、设定画のポーズ集的なものを作れたのもエクシアだけでしたからね。エクシアに関しては、肉弾戦専用というところで、今までにないガンダムでしたから。
水岛
最初から计算づくでやったわけではないんですけど、うまくキャラクターが育ったというところもありますね。これだけ大きな剣を持っているから、剣主体で攻撃するというのも判りやすかったし。事実、「今、子供が喜ぶのはどういうアイテム?」ってバンダイさんに闻いたら「大きい剣です」って言われたことが、エクシアに剣を持たせた理由でもありますからね。
脚本担当の黒田君がガンダムが大好きで、マッシブなプロポーションのエクシアだからこそ他のガンダムではあまりやっていない肉弾戦をやりたいと言っていて、逆に残り3机のガンダムでは今までのガンダムを継承する见せ方をしたいという提示を受けたんです。そこで生まれたのが、射撃型と変形型と重装タイプという3机のガンダムなんですよね。だから、当初「后方支援型とツーマンセル(二人一组)で、谁と谁が组んでミッションをクリアしていく」というようなスパイアクション的なこともやろうと思っていたんだけど、シリーズの2分割化が决まった时点でその辺りはできないだろうということになって。そこはもったいなかったですね。
でも、このエクシアのポーズ案があったから、1话と2话の完成度が高くなったのは确かですね。
水岛
中谷さんは、大阪に住まわれていて、同じスタジオで一绪に作业をしたことはなくて、全体の打ち合わせなんかに来てもらって话をして、その后の作业では制作进行が间に入る形で作画作业をしてもらっていて。
でも、そこでストレスを感じたり、大きなトラブルが起こることはなかったですよね。
中谷
水岛さんは、かなりしっかりとチームを作って来られたので、作业的に混乱せずに済んだんだと思います。メカデザイナーの方々も役割がしっかりと分かれていたし、そのデザインを本编で描きやすいようにリライトするという仆の役割もつかみやすかった。きちんと役割分担をした上で依頼していただいたので、いろんな作业をナアナアで頼まれるということがなかった。そういう意味ではやりやすかったですよ。
水岛
中谷さんには、作画监督として作业してもらう前の段阶から、デザイナーが描いたメカデザインのクリンナップのためにまとめ役として参加していただきました。その结果、メカニックデザインという形でクレジットされていただいたわけですが。
中谷
ファーストシーズンは、仆が加わった顷にはデザインがほぼ出来上がっていて、デザインのリライトの际に线を简単に减らすことができないところもあって、苦労しましたね。その点、セカンドシーズンでは最初のデザイン打ち合わせの段阶で入れさせてもらったので、描く侧としていろいろと意见を言って调整できたのでよかったです。
水岛
ファーストシーズンでは、决まったデザインをもとにキャッチボールすることになって苦労したので、セカンドシーズンではよりストレスのない形にするためにも早い段阶から入っていただきたかったんです。もともと、ファーストシーズンではメカの线が多いという反省があったので、线を减らさなくてはならなかったんですよね。ただ、普通に线を减らしてしまうと减らす必要のない线まで减らされてしまう可能性もあったので、こちらとしては中谷さんに入ってもらえたのは良かったですね。
中谷さんはデザイナーの线を尊重してくれるし、デザイン时に知らず知らずのうちに描きにくい线を入れても意図が判れば残してくれる。ラフの段阶から中谷さんに相谈して、动きも含めた部分で调整できた结果、お互い幸せな方向に歩み寄れましたから。
中谷
海老川さんや柳瀬さんのイメージしている形を、ファーストインプレッションで知ることができたので、あれはかなり良かったですね。
水岛
「作画的な表现をしたときに、アニメーターはこういう风に描くと思うから、ここはこんな形の方がいい」という中谷さんの提案で、各部の形状が変わったりしていたので、最终的なフィニッシュに持って行く顷には共同作业的なノリになっていって。彼らデザイナーも、「勉强になった」と言っていましたから。
そうやって完成したダブルオーガンダムとエクシアですが、どちらの方が动かしやすかったですか?
中谷
エクシアの方がダブルオーよりも动かしやすかった……というか、动かしがいがありましたね。ダブルオーは、いわゆる“ガンダム”になりすぎてしまったかなって。
水岛
难しいところですね。海老川君的には、エクシアで不评だったと感じたところに踏み込めなかったのと、仆の方からもいわゆる“ガンダム”に寄せようという话をしたので。逆に、そこが面白みのない部分としてでてしまったのかなと思います。
肩にツインドライヴを装备して、シルエット的にエクシアとどう差别化するかというところで、柳瀬君のガンダムと融和させようという流れもありました。
中谷
ダブルオーはマッチョになってしまったので、动かし方の幅が逆に狭まってしまったんですね。エクシアはそれこそ突进系のメカなのでポーズひとつとってもいろいろ试せたというのが大きいですね。
水岛
次は、一巡して海老川君が再登场します。中谷さんは、海老川君に何を期待されますか?
中谷
自分で描いておいてなんだけど、ガンダムが见たいですね。エクシアとか、リボンズガンダムとか。
水岛
そうですね。确かにガンダムが见たいかも。今回中谷さんが主役メカを描いたので、そのアンサーで海老川君が何を选ぶのかすごく楽しみだな~。
2011年03月05日 10点03分
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level 7
第八
2010年05月18日
高达动态
G-ROOMS
高达00《机动战士高达00》G-ROOMS日文版第八回:为了开拓未来而出击
水岛
いよいよG-ROOMSも一巡して、海老川君に戻ってきたね。前回のリクエストに答えてくれてダブルオーライザーを描いてくれたんだけど、実は最初违うものを描こうとしていたんだよね(笑)。
海老川
そうですね(笑)。舞台は地上でGN-Xを描こうと思っていたんです。でも、せっかくネタを振ってもらえたんで、ダブルオーにしてみました。监督は「好きなほうでOK」とおっしゃってくれたじゃないですか? でもOガンダム、エクシアと続いたんで、ダブルオーをちょっと本腰入れて描いてみるのもいいなって思ったんです。
水岛
后ろから见たガンダムっていう构図もおもしろいよね。
海老川
シチュエーション的には本编の第23话「命の华」です。ソレスタルビーイング号へ向かうガンダムとプトレマイオスⅡですね。ダブルオーの版権イラストは他の媒体でも何度か描かせてもらっていたんですが、さすがに背面は无理でした。でもG-ROOMSのコンセプトなら描けると思いまして。ダブルオーをデザインしたとき、后ろからの密度って结构気に入っていて、どこかで描きたいなと思っていたんです。
水岛
G-ROOMSは企画としてかなり自由度があるからね。
海老川
企画のコンセプトが戦场写真的な视点ということも考虑して、ラフの时点では连邦の输送舰からみたダブルオーっていうシチュエーションで窓枠も入れていたんですよ。
水岛
でも窓枠を入れると引いた絵になってしまうんだよね。そこで全体を见せようとすると、见せ方の収まりが悪くて、额縁のようになってしまう。
海老川
そうなんです。それならいっそのこと、窓枠をとってしまおうと思って、今回の絵になりました。
水岛
メインのダブルオーがこれだけ大きいからね。枠をとったことで、结果としてすごく临场感のある絵になっている。细かいディテールもはっきりわかるしね。
海老川
ええ、今回はせっかくの机会なので、PG(パーフェクトグレード)に携わったときの基准でディテールを追加しています。あと、実は足裏のディテールはPGにはないものです。オーライザーにもPGでボツになったハッチが展开するディテールを描いていますね。
水岛
さすがに作画でこの密度は出せないから、こういう场でオリジナルのメカデザイナーが自由に描けるっていうのはいいよね。
海老川
そうですね。この企画ならではだと思います。
水岛
PGで果たせなかった梦があふれているね(笑)。ダブルオーがもう1回アップデートされているっていう印象を受けるなぁ。
海老川
それまでにHG(ハイグレード)と1/100スケールを経験してきましたが、PGは1/60という大きいサイズなので完全に新规でディテールを起こしているんです。一度、アニメ版のデザインありきでディテールをリセットして、再度加えた形になります。
水岛
そういえば、オリジナルのメカデザイナーがPGのデザインをしたのは初めてだよね。评判は良かったのかな?
海老川
昨年度のプラモデルでは、一番売上がよかったらしいですよ。
水岛
それはバンダイに大々的に言ってもらわないとね(笑)。それだけいい出来なのに、PGともなると自分では作れないのが残念だなぁ。キミはあれだけ働いているのに、よく模型を作る暇があるよね。
海老川
仆は仕事か模型かゲームしかやってないですから(笑)。
水岛
それはいい人生な気がする……。それに消费しているだけじゃなく、ちゃんとクリエイターとして世の中に発信しているもんね。デザインを発表して、それが商品になってそれを自分で买って作って楽しんでって……。
2011年03月05日 10点03分
20
level 7
海老川
永久机関です(笑)。
水岛
GNドライヴだね(笑)。
海老川
今日はダブルオーのラフをいろいろもってきたんですよ。
水岛
青いダブルオーとか懐かしいね(笑)。これは黒いガンダムに憧れて描いてもらったんだけど、结局主役に见えなかった。ダブルオーは当初、エクシアの発展系で考えていたから、プロポーションはもっとエクシアに近い形だったんだよね。それをもっと细身で赘肉を削いだ形にしたいっていう话になって、パンクラスの船木诚胜选手をモデルにしようってことになったんだよね。
海老川
途中のラフでは、颜まで细くなっちゃったのもありましたね(笑)。
水岛
そうそう(笑)。初期段阶は线が多いんだけど、これは模型用を想定して多めに描いてもらったんだよね。そこから、いかに作画に必要な线、立体を表わす线だけを残していくかっていう基准だった。
海老川
メカとしても、纯粋な进化の形としてシンプルになり、线が整理されていくのは正しい流れですよね。
水岛
无駄な线をはぶいて、それでもデザインがわかるようにっていうことをしつこく言ったよね。で、それに巻き込まれた寺さん(寺冈贤司氏)が怒ると(笑)。でも言うだけ言ってすっきりして帰ると、翌日には线を减らしたティエレンの设定画をもってきてくれるんだ。まぁ结局、ティエレンのディテールが减るとさびしいって、作画のみんなは元の设定で描いてくれたんだよね。
海老川
线を减らすとティエレンらしさも减ってしまいますよね。
水岛
しかし完成までに、こんなにラフがいっぱいあったんだね。とくに海老川君に発注するときは、変なことばかり言っているからかな(笑)。
キミに発注する场合は、アバウトで幅のあることを言ったほうが、面白いデザインが出てくるんだよ。最初は「エーッ」って颜するんだけど、1周间ぐらいすると、すごくいいデザインが上がってくるパターン(笑)。海老川君のことは古くから知っているから、毎回このパターンで発注するんだけど、周りの人は「监督ヒドイ!」って颜をするんだよ(笑)。でもそういう発注の仕方をすると、想像していた以上ものが上がってくるから面白いんだ。そういう意味では、実直・坚実な柳瀬君と、海老川君のコンビは、うまくバランスが取れているんだって感じるね。
水岛
ダブルオーガンダムとダブルオーライザーという2つの形态を成立させる难しさはあった?
海老川
最初からオーライザーが装着されることはわかっていましたんで、ダブルオーの段阶でできるだけ线を减らしたいっていう気持ちはありました。
水岛
そういえば追加装备に関しても、シルエットが一目でわかるっていうことを重视していたよね。それでコウモリのイメージで进めていたら、ちょうど仮面ライダーと被ったって大騒ぎになった(笑)。ただ実际のデザインを见たら、方向性がまったく违っていて安心したんだっけ。结局、オーライザーの方向性を决めていく段阶で、コウモリから离れて行ったんだ。
海老川
本当はダブルオー単体で完成した状态でなければならないんですけど、ツインドライヴを制御するために急遽オーライザーを装备した……っていう设定なので、増设した感じがないとダメだなと思っていたんです。ちょっと微妙なさじ加减ではあるんですけど、一体感ではなく、后付け的な雰囲気を出したかったんですね。
水岛
肩が大きいところから导き出して、エクシアがシンプルだから、これぐらいのバランスでも许容できるっていうことで肩にパーツをつけたんだよね。たしか羽根の展开方法も中央から开くとか、片侧から开くとか、いろいろパターンがあったなぁ。
2011年03月05日 10点03分
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level 7
海老川
そういう意味ではダブルオーで完成している机体ではあるので、剧场版のダブルオークアンタも同じコンセプトを受け継いでいるイメージにしたんです。コンセプトは完成しているんで、変える必要がないわけですから、より理想に近い形に近付いていると思います。
水岛
剧场版のモビルスーツを考えたとき、2年っていう年月でまったく新しいものが生まれるのはあり得ないから、基本的にフレームは前モデルと共用というスタンスにしたんだよね。中でもダブルオーに関しては、もともと完成度が高いから変える必要がなかった。ただデザイン面ではあまり大きく変えられないから、どうしようかって思ったんだよ。
海老川
でも、仆はこれでオーライザーの机能を内蔵した完全版ダブルオーを作れる! って思ったんですよ。
水岛
燃えたぎっていたんだ(笑)。
海老川
与えられた条件でやりくりするのもおもしろいなと思いまして(笑)。ダブルオーの素材とフレームを共用したうえで、どんな新しい机体が生まれるのか。そういう意味では作业的には楽しかったです。
水岛
监督があまり难癖つけなかったから、スムーズに进んだよね(笑)。
海老川
(笑)。今までの中で一番早かったです。悩んだのはソードビット群をどこにもっていくか、というところで、角田さんにアドバイスをもらって现在の形になったんです。
水岛
副监督の角田一树君は、00チームにおけるガンダムの良心だからね。モビルスーツに関しては一番知识があるし、ガンダムが好きだし、海老川君とはゴンゾ时代からの盟友だしね。
そういう意味では海老川君のデザインの面白さって、前田真宏さんをはじめ、异能なデザイナーがたくさんいらっしゃるゴンゾでキャリアをスタートさせたのも大きいよね。ある意味、戦场にいきなり叩き込まれたみたいな现场だった。一つの発想で固まるっていうところが许されないスタジオだったから、许容できる幅が広がったのかもしれない。久しぶりに一绪に仕事をしたとき、メカの絵を见せてもらったんだけど、现在に近いデザインになっていた。すごく成长しているなと思って、『ガンダム00』のデザインコンペに出てもらったんだよ。そこでエクシアの元デザインが、満场一致で选ばれた……。本当にドラマチックな展开だよね。毎回、いろんな场所で言っているけど、俺が选んだわけじゃないからね!
海老川
そういえば、コンペの直后に电话をいただいたとき、「で、だれが描いてくれるんですか?」って闻いちゃいましたよね(笑)。エクシアのデザインをもとに、别のデザイナーさんが描いてくれるものだと思い込んでいたんです。
水岛
いやいや、描くのは君だから(笑)。
水岛
いまさらながらだけど、GN-Xのイラストもちょっと见てみたいね。
海老川
ファーストシーズンとセカンドシーズンの空白の4年间とか、结构おいしいネタがいっぱいあると思うんです。
水岛
ガンダムはいないけど、连邦はアロウズを発足するなど、いろんな动きがあるよね。纷争地帯には连邦军が入り込んでいるはずなんで、一番生々しい戦场写真的なシチュエーションは作れるよね。
海老川
正规军対ゲリラとかですね。セカンドシーズンの后のネタも入れたいなと。もう一巡と言わず、ずっと続けたいです。まだまだ描きたい絵がいっぱいあるんですよ!
水岛
毎回、楽しみにしてくれる人がいるみたいだから続けたいね。そういえば最近、ツイッターでいろんな知り合いが増えて、生で反応がもらえるのは刺激になるよ。海老川君もアカウント持っているんでしょ? 「G-ROOMSイラスト、どうでしたか?」って书いたら、いっぱい返事がくるんじゃない?
海老川
だ、大丈夫でしょうか……?
水岛
じゃあ今回のイラストの感想は、海老川君のアカウントまでお待ちしております。忙しいので返事は返せないと思いますけど。
海老川
可能な限り返信させていただきます……。
水岛
さて、次回は顺番で行くと柳瀬君だね。でも海老川君がGN-X描きたいみたいだから、もう1回やろうか?
海老川
いえいえ(笑)、柳瀬さんで。今度は何を描くんですかね?
水岛
本人が一番描きたいものでいいんじゃないかな? なおかつ「エーッ!?」ってびっくりするようなものを见せてくれるとうれしいかな。
2011年03月05日 10点03分
22
level 7
第九
水岛
今回は柳瀬君の2回目なんだけど、実はこのイラストを完成させるために、「カメラを买おう!」って勧めたんだよね。柳瀬君は3Dをベースに絵を描くのに、以前からパースのついたイラストが苦手だった。特に空间を见せる絵を描くとき、カメラ位置や画角を意识出来ていなくて临场感を损なっていたんだ。
柳瀬
水岛监督や海老川(兼武)さんにも、奥行きの出し方を言叶では闻いていたんですけど、それをどう実际に形にすればいいのか、感覚としてわかっていなかったんですよね。
水岛
形状を说明する设定画に関して、柳瀬君はまったく问题がない。でも1枚絵でドラマを语ろうとしたとき、どうしても说明的で临场感が出せなかったんだ。だから実际に画面构成を感じるために、フレームを通して见るカメラを买って、ファインダーを覗いてみれば、切り取られる空间のイメージが掴めるんじゃないかと思ったんだよ。で、実际にカメラを买って、広角レンズを覗いて、その上で上がってきたのが、今回のイラストなんだよね。凄く临场感のあるものに仕上がっている。それで、今回のイラストになったのは?
柳瀬
まずメカ背景を描くか、ダメージを描くかっていう候补がありました。ダメージの设定は以前から描いていて、本编でもアニメーターさんが拾ってくれてうれしかったんです。だからいつか描きたいなと思っていまして。実际にダメージ设定が使われたシーンは、セカンドシーズンのクライマックスでダメージを负ったケルディムとかがわかりやすいと思います。
水岛
描いたものが无駄にならない、っていうのはいいよね。现场の人间は参考になる设定画ってすごく欲しい。全部动かすと厳しいけど、たとえばアップになったときにできるだけ描いてくれる。00は设定が优秀で作业が先行出来ていたので、作画にかける时间もとれた。ほんと良い现场になっている。
柳瀬
ただアニメーターさんに闻くと、こういう部分はやらせてほしいっていう场合もたまにあって、どうしようかなって思う部分もありますね。
水岛
それもあるね。寺さん(寺冈贤司氏)なんかは、「アニメーターが考えればいいんだよ」っていうスタンスだもんね(笑)。彼はアニメーター出身だから、设定がないと描けないというのはダメだって、わからなければ资料を自分で集めて描くようにしなければ上达しないという考え。仆もその考えには同意です。でも今回はメカ背景のほうだよね。
柳瀬
実は、最初にデュナメスの壊れたバージョンを描こうと思っていたんですが、「それは监督に予想されていますよ」ってタレこみがあって(笑)。
水岛
(笑)。
柳瀬敬之(やなせ・たかゆき)
メカニックデザイナー、イラストレーター。『ガンダム00』では、ガンダムエクシア、ダブルオーガンダムを除く、ソレスタルビーイング侧のガンダムのメカデザインを主に担当。『机动戦士ガンダム MS IGLOO』や『交响诗篇エウレカセブン』などにメカデザインとして参加。剧场映画『ブレイク ブレイド』ではメインメカデザインを担当している。
柳瀬
そこで海老川さんと话していたときに、キュリオスのその后はどうなったんだろう? っていうアイディアが出たんです。アヘッドが人革连の系统のデザインになったのは、そもそも人革连がキュリオスを卤获したことが、MS开発のアドバンテージになったのかもしれない。それならキュリオスにティエレンの系统の腕をつけたテストもあったんじゃないか……っていうネタを提供してもらったんです。
水岛
ほかにもキュリオスの手足にGN-Xパーツをつけたテスト飞行シーンとかあったよね。キュリオス卤获后っていうテーマは共通だよね。
2011年03月05日 10点03分
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level 7
柳瀬
キュリオスって、ファーストシーズンの最终决戦で、腕と足が壊れたじゃないですか? そこでGN-Xの手足をつけてテストをした……っていう方向性だったんです。でもそれだと背景が描けない。そこで今回は连邦戦舰の格纳库のイメージをもってきて、格纳库内でのテストにしたんです。これは手首だけGN-Xなんですよ。GN-Xの手首とティエレンの腕に、ガンダムをつなぐ……っていうイメージで、アヘッドに行きつくところを想像できますし。细かいところでは、GN粒子供给コードをそのまま接続できないので、変换コードをつないでいたり、后ろにはGN-Xの疑似GNドライヴをつなげているという感じですね。
水岛
今回はシチュエーションに関しては明确だったから、まったく问题はなかったね。あとはそれを、どうやってドラマチックに絵作りをするかというのがポイントだった。
水岛
柳瀬君は室内を描くと设定画っぽい描き方になっちゃう、っていうのかな。アニメーターにわかりやすく描いてもらうためには适しているんだけど、临场感という部分では足りなかった。なにが一番临场感を损ねちゃうかっていうと、カメラが室外に出ちゃうことなんだよね。ある程度、広角レンズを意识しているわりに、壁をぶち抜いて引いた絵になってしまっていた。この情景を见ているカメラがその空间の中に居るように描かれていないことが问题だった。仆は3Dを使わないからわからなかったんですけど、海老川君と话しをしていたら、広角レンズで画面の端がゆがんだりする表现は、3Dにとって相当苦手なものらしい。だからフレームの一番端が歪んで强烈になるところに、どうしても弱さが出てしまっていた。
柳瀬
3Dソフトで组むと、そういう部分はどうしてもおかしいと见えてくるんですよね。そこで整合性を取ろうとすると、どんどん引いた絵になってしまう。
3Dのままだとデジタル上でカメラを后ろに引いているだけなので、フレームの端の部分には当然レンズ効果はないんですよね。今回はその状态をベースにして、レンズの歪みを加えてみる……ということをやっています。
水岛
海老川君は、なるべく3Dは使わない派なんだけど、仆は便利だったら使えばいい派。结局、両方のいい部分をどうやって融合させるかなんだよね。今回、カメラを买ってみて、実际にちょっと触っただけでも违いは出たんじゃない?
柳瀬
たぶん、絵描きさんは感覚としてわかっていると思うんですよね。自分がいかに制図屋の出身かというのがよくわかった気がしますね。
水岛
もともとゲームの3Dから入っているもんね。ただメカデザインのセンスがすごくあって、それを细かく提示するのは上手なんだよ。一方でイラストが描けないってわけじゃなくて、単に気づいてなかったっていうのかな? 柳瀬君は最近、かっこいいイラストを描きたい! って気持ちが高まってきたんで、いい変化だなって思ってた。でもちょっと踏み込みが足らなかったから、「カメラ买おうよ!」って勧めたんだ(笑)。実际に体感して覚えるほうが早いからね。
柳瀬
実际レンズを覗いてみると、たとえばビルってこんなに歪むんだなっていうのが実感できた……という感じですね。とにかくカメラを持ち歩いて、いろんな场所で撮影してみます。
ガンダムキュリオス
高速戦闘を重视し、変形机构を备えたガンダム。飞行形态への変形によって、西暦2307年当时のMSの中では、突出した机动性を获得した。机动性を优先したためか他のガンダムに比べ若干火力は低下したが、高速戦闘能力は抜きんでている。また攻撃面では、オプションのテールユニットを搭载することにより、様々なミッションに対応できる。国连军との最终决戦「フォーリン・エンジェルス」では、攻撃力と机动性を底上げするテールブースターを搭载し、完成度を高めている。同作戦ではGN-X部队との激戦ののち、オリジナルのGNドライヴを放出、被弾した机体とマイスターは、人革连に回収された。
2011年03月05日 10点03分
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